Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

政策担当者への伝言

インターネット・ガバナンス

インターネットは、最初は米国のものだった。それが、オープン化されて皆のものになった。現在は、ドメイン名やIPアドレスなど基本的なことがらを管理する機関(IANA)はあるものの、誰でも自由に使える「世界インフラ」となっている。そういう意味で…

テレビ受像機にかかる「税金」

NHK会長の諮問機関「受信料制度等検討委員会」は、将来放送コンテンツをネットで同時配信した場合、ネットでの視聴者も放送での視聴者同様受信料を負担すべきだとの見解を示した。https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170802-00137185-diamond-bus_all…

研究予算のシフトと派遣研究者(後編)

従来型の大学等研究機関で人件費を抑制せざるをえなくなって、そのしわ寄せが若い研究者に来ていることを前回説明した。その結果方々に発生したのが「派遣研究者」。研究開発の分野でも、非正規雇用に頼るようになったのである。 ここで問題になったのが「派…

研究予算のシフトと派遣研究者(前編)

ノーベル賞を受賞した大隅教授であるが、日本の研究機関運営に苦言を呈していた。いつ何の役に立つか分からない基礎研究の分野への、日本政府(もしくは社会全体)の理解が足りないということである。世の中がせちがらくなって、長期的な研究に人気が集まら…

マイナンバーへの長い道(5/終)

現状マイナンバーは、複数の機関に存在する個人の情報が「同一個人の情報である」ことを確認するもので、税・社会保障・災害対策の行政手続きで利用されることになっている。電子証明書を組み込んでいる人は、これを使って確定申告など行政手続きのオンライ…

マイナンバーへの長い道(4)

およそ10年前、僕は欧州各国の電子政府事情を調査するミッションに参加した。巡ったのは、デンマーク・ベルギー・EU政府・フランス・オーストリアだった。電子政府の進捗度は、政府に対する国民の信頼度と比例する。そしてそれは緯度とも比例するようだ。 …

マイナンバーへの長い道(3)

1999年に住民基本台帳制度ができて、全国民に原則一生変わらない固有の番号が定められた。ただ、通知は来たものの自分の番号を覚えている人などいないだろう。住民基本台帳カードを受け取った人も、非常に少なかった。かくいう僕も、通知をどこかに仕舞って…

マイナンバーへの長い道(2)

国民総背番号制度やグリーンカード構想が目指したものは、恐らく税制からの改革だったのではないか。個人(もしくは世帯)にはさまざまな収入の可能性がある。会社勤めの給料・賞与もあれば、株式配当や売却益などの金融所得もある。不動産売買や相続もある…

マイナンバーへの長い道(1)

各自治体でマイナンバーカードの交付が始まっている。かくいう僕ら夫婦も先月入手できた。しかし、実態としてどのくらい普及しつつあるのだろうか?住民基本台帳カードの二の舞にならないかと危惧される。ところでこのカードは何の役に立つのだろうか? マイ…

カウンター・サイバー攻撃

総務省が来年度の予算で、サイバー攻撃に対するおとりサイトを作り、そこへの攻撃を分析することでセキュリティ性を高めるという実証実験をするとの報道があった。https://www.jiji.com/jc/article?k=2017082900983&g=eco 以前から不信な通信は、多くのIPア…

ICカード開発史(5/終)

銀行そのものは電子マネーには冷静(というか冷淡)だったが、金融業界の重鎮には電子マネーに期待を寄せていた人もいた。彼らは日本の銀行が金融の本質から離れて「金融雑務」に堕するのではないか、との危機感をもっていたようだ。実際銀行のバックヤード…

ICカード開発史(4)

金融機関,特に銀行がICカードを導入するとしたら、まず考えられるものは銀行カードである。たいていの大人は一人数枚持っているのだから、量的にも十分である。ICカードを売りたい側としては、偽造防止でお客様を守れますと盛んに売り込みを掛ける。電…

ICカード開発史(3)

誰もが持っているカードにしようということでということで、いろいろな模索が始まる。だが、国民ひとりに1枚、と期待された住民基本台帳カードは全く普及せず。それから15年経って「マイナンバーカード」で再挑戦中だが、必ずしも明るい見通しではない。そ…

ICカード開発史(2)

なんとか使ってもらえる品質にメドが付いたとしても、製造コストの削減が大きな課題だ。磁気ストライプは、何しろ安い。読み取り機もシンプルだし、システム価格としても安い。ICカードにしても光カードにしても、コストでこれを下回ることは不可能に近い…

ICカード開発史(1)

何度かシーズから発想して事業を興そうとすると失敗する公算が高い、と述べてきた。今回はわかり易い例としてICカードを取り上げてみたい。ICカード(Integrated Circuit Card)の発明は、日本では有村氏が1970年に特許を取得している。 ダイオード、抵…

Digiralという破壊神(3/終)

デジタル化の波の中で、消えてしまったか消えつつある製品もある。例えばFAX。一時期僕も家庭で使っていたが、いつの間にか無くなってしまった。オフィスでもFAX単体ではなく、複合機の中に1機能として(めったに使わない機能だが)生き残っている。…

Digitalという破壊神(2)

続いてはカメラ。レンズは設計に使われるコンピュータの性能が上がったのでそういう意味で進歩はあったが、元来物理的なものなので大きな変革は起きていない。しかし、ボディの方はものすごく変わった。以前紹介した"NIKON F2" は最強のメカニカル・カメラで…

Digitalという破壊神(1)

アップルが高級車で知られる英国のマクラーレンを買収するという報道があった。いまのところ両社は、この報道を肯定していない。本件の真偽はともかく、クルマ産業にまでICT産業が手を延ばしているということに多くの人が驚かなくなっているのは分かる。あり…

6兆円、2兆円、600億円

トランプ政権の最初の予算方針が出たが、国防費が6兆円約1割増加するという。何を削るのだろうかと思いながら彼の国は60兆円の国防費を使っているのねと感心した。これは日本の国家予算(一般会計)の6~7割にあたる。 霞ヶ関から盛んに聞くところによる…

日本の林業(5/終)

ある業界団体が「国産材マーク」を普及させるためのキャンペーンを張っていることを前々回に紹介したが、林業復活には国産材をいかに使ってもらうかを開拓することが必須である。そういう意味で、最後に「林業の第6次産業化」に取組んだ例をご紹介しよう。…

日本の林業(4)

インターネット/クラウド時代になって少しは変わってきたが、IT屋から見てお客様に見える業種とそうでない業種がある。ある程度の人員規模があって業務手続がそれなりに標準化できる業種は、コンピュータの導入がしやすい。銀行を始めとする金融機関、大…

日本の林業(3)

極めて早い段階で関税が低くなり(合板ですら最大10%)輸入木材に市場を席巻されてしまった日本の林業では、就労人口が5万人を割りしかも高齢化して、存亡の危機に立っている。自給率は2012年現在26.6%と政府目標の半分強に留まっている。この復活シナリオ…

日本の林業(2)

ある業界団体では、木材自給率50%(政府目標:現在のおおむね倍)を達成した場合の試算をしている。木材は3つの分野の分けることが出来る。個々に見ていくと、◆製材 2009年の国産材需要1,058万㎡ ⇒ 2020年の国産材需要2,180万㎡ 自給率 41% 自給率 63%◆…

日本の林業(1)

日本の国土の約70%は森林だという。これは平地が少なく住みにくい、田畑が狭く農業生産性が低い、豪雨水害など自然災害が多いなどのデメリットもあるが、水資源や森林資源が豊富、景観が美しいなどのメリットもある。産業としての林業も、慶長年間(1600年こ…

富山市長の挑戦(3/終)

森市長は今回の当選後のインタビューでも、富山駅南北に分かれているライトレール(北側)と市電(南側)の接続に意欲を見せている。http://www.nikkei.com/article/DGXLZO15413610X10C17A4LB0000/ 富山市の中心が富山城だとすると、富山駅はそこから北に400…

富山市長の挑戦(2)

市長と話していてよく出てくる話題が「高齢者に元気になってもらうこと」である。高齢化そのものは止めようがないが、健康であれば医療費が少なくなり、自治体の経営が改善するということ。そこで地元の大学の先生が言う「人間は毎日8,000歩以上歩けばおおむ…

富山市長の挑戦(1)

富山市で市長選・市議会議員選挙が行われた。市議会については、政務活動費の不正受給も問題で14人もの辞職者を出した「話題」の街である。不正による辞職者も含めて定数38に対して58名が立候補、不正関与を問われた8人中5名は当選している。地元優先の癒…

全国総合開発計画(3/終)

僕の「地域オンリーワン戦略」に対しては、予想通り反論が相次いだ。この会合の目的を、公共事業費(特に道路予算)をどうやって財務省と渡り合って増やすかに置いていたメンバーも多かったのだろう。いわく、・地域にそんなこと(オンリーワン戦略)を考え…

全国総合開発計画(2)

公共事業費削減で、計画されていた高速道路網が完成していない、つながるべきところがつながっていないというところはいくつもある。昨年圏央道が開通して、横浜市とつくば市が非常に期待をかけている会合に出席した。偶然だが、両市の個別の会に一日違いで…

全国総合開発計画(1)

「ミスター全総」と呼ばれた、下河辺元国土交通事務次官の訃報が伝えられた。全総こと「全国総合開発計画」は、1962年の第一次から1998年の第五次まであったがその全てに関わったという伝説の人である。十年近く前、ある業界団体の勉強会に呼ばれた。今後の…