インターネットは、最初は米国のものだった。それが、オープン化されて皆のものになった。現在は、ドメイン名やIPアドレスなど基本的なことがらを管理する機関(IANA)はあるものの、誰でも自由に使える「世界インフラ」となっている。そういう意味では、インターネットは草の根のもの、ボトムアップのものだ。
ガバナンスとは統治するということだから、つまりはトップダウンのことだ。この2つがくっついた単語「インターネット・ガバナンス」は、僕に非常に不思議な印象を与えた。ところが、これが国際社会では堂々と議論されている。10年前から、国連の会合のひとつとして、IGF(Internet Governance Forum)というものがあるのだ。日本にいると全く感じないが、いくつかの国では政府がインターネットを規制することがある。
例えば「天×門事件」という検索をかけると、某所では我々が知っている当該事件の記事はヒットしない。かの国に代表されるいくつかの国は、自由なインターネットには賛同せず「政府の(より強い)関与が必要」と主張している。いくつかの国と言ったが、国連でヘッドカウントするとかの国に賛同する国の方が多い情勢だ。国際政治学者の村田晃嗣先生がある番組で、
・ポストモダンの国 日米欧等(21世紀型の国ということらしい)
・モダンの国 ロシア、中国等(20世紀型の国だろう)
・プレモダンの国 中東、アフリカ諸国等(19世紀以前ということね)
と分類して、日本の外交スタンスを相手によって変えるべきと話されていた。この分類が、インターネットに対する主張や考え方の区分と一致する。おわかりのように、モダン・プレモダンの国の方が数としては多い。
・ポストモダンの国 日米欧等(21世紀型の国ということらしい)
・モダンの国 ロシア、中国等(20世紀型の国だろう)
・プレモダンの国 中東、アフリカ諸国等(19世紀以前ということね)
と分類して、日本の外交スタンスを相手によって変えるべきと話されていた。この分類が、インターネットに対する主張や考え方の区分と一致する。おわかりのように、モダン・プレモダンの国の方が数としては多い。
インターネットに国境はなく新しい技術であり新しい世界インフラなので、本来は新しい国際条約を結ぶべきと思う。海をインフラとして意識するようになった百数十年前に、国際海洋条約を結んだように。しかし今国連で条約を議論すれば、ポストモダンの国に不利な条約になることは明らかである。そこで、インターネットの自由を信奉する国々は、新しい条約ではなくこれまでの条約の適用で、当座をしのごうとしているらしい。
2003年、2005年と世界情報サミット(WSIS)が開かれ、10年後にこのテーマを話し合おうという取り決めがなされた。その10年目ということで、WSIS+10が今年ジュネーブで開催された。
http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/wsis/index.html
結論を簡単に言うと、あと10年先送り。WSIS+20ということになった。まあ、国際政治の難しく長い時間がかかるものと言えるが、インターネットの世界はマウス・イヤー。2026年にどうなっているか、僕は知りませんよ。
<初出:2016.7>