Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

Digitalという破壊神(2)

 続いてはカメラ。レンズは設計に使われるコンピュータの性能が上がったのでそういう意味で進歩はあったが、元来物理的なものなので大きな変革は起きていない。しかし、ボディの方はものすごく変わった。以前紹介した"NIKON F2" は最強のメカニカル・カメラである。しかし光を測定する機能はあって、小さな電池を内蔵しごく小さな電気回路を持っていた。それが電子シャッター、自動露出が搭載されると、電気回路は少し大きくなった。

 さらにミノルタが先鞭を付けた「オートフォーカス」。被写体までの距離を測定し、自動的にピント合わせをする機能だ。当然自動露出は付いているから、被写体の明るさも同時に測定している。最初は中央部にあるものを被写体を決めてこれらを測定していたが、やがて測定点を複数持つこともでき、それらの入力データを計算してベストのピントや露出をカメラが決めるようになる。

 一般のネガフィルムに比べて、リバーサルフィルム(スライドにするもの)のラチチュードは狭い。一絞り狂ってもネガなら何とか見ることのできる写真が撮れるが、リバーサルだと1/3絞りの露出オーバーやアンダーがぎりぎり。だから「数打てば当たる」方式で、1/3絞りづつ変化させて数枚連続で撮る機能を高級機は持っていたくらいだ。プロ・カメラマンは長い経験から、露出補正ができる。それが最大のアマチュアとの差になっていた。

 それが最後のフィルムカメラ"NIKON F6" になると、プロ並みの露出補正の機能が付いていた。あるプロ・カメラマンが試し撮りをして驚いたと言う。ここまでくると、カメラボディもコンピュータに近い処理能力を持ってしまった。当然電気回路は非常に大きくなり、電力消費量も増したのである。

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 そして止めにでてきたのが、デジタル・カメラ。フィルムの替わりに光電素子が並んでいて、レンズを通った光は素子の上に像を結び、記憶装置に保存される。撮影したその場で確認できるから、失敗が許されないプロの仕事にも向いている。素子の精度が上がってくると、その便利さからフィルムに戻ることはできずアマチュアもプロもデジタルを愛用するようになった。

 今でもニコン・キャノンというメーカーはカメラを作っているが、一眼レフ三番手のミノルタはカメラ部門をソニーに譲渡、新しいプレーヤーの登場となった。ニコンの主力は半導体製造装置だし、キャノンはOA機器やサービスが主力。逆にOA機器やサービスの会社だったリコーがカメラ市場に参入している。

<続く>