トランプ政権の最初の予算方針が出たが、国防費が6兆円約1割増加するという。何を削るのだろうかと思いながら彼の国は60兆円の国防費を使っているのねと感心した。これは日本の国家予算(一般会計)の6~7割にあたる。
霞ヶ関から盛んに聞くところによると、米国政府のサイバーセキュリティ予算は約2兆円。これも多分いくらかは増えるのだろう。ひるがえってわが国はというと、約600億円。ケタが違うわけだ。日本政府が「特定秘密保護法」を制定させたのは、同盟国から機密情報を貰えるようにする布石なのだが、サイバー攻撃に対して無力というなら法整備だけで機密情報がもらえるはずもない。
日本政府は、次年度予算かどうかは別にして必然的にサイバーセキュリティ予算を増やすであろう。危惧するのはその増分を「よこしまな気持ち」で狙うヤカラ。霞ヶ関の利権争いや、経営に苦心している企業への「贔屓の引き倒し」にならないことを祈りたい。もともとリスクマネジメント系のソリューションは、必要な割には普及しない。苦労している企業がたくさんある。
お客さま企業の経営者が「俺の目の黒いうちは地震は来ない」と言い張ったり、財務本部長が「これに投資してどうやって回収するのか」と意地悪を言うからだ。ベンダー側のサイバーセキュリティのソリューションやプロダクト事業は、そのカベに突き当たることが多い。
お客さま企業の経営者が「俺の目の黒いうちは地震は来ない」と言い張ったり、財務本部長が「これに投資してどうやって回収するのか」と意地悪を言うからだ。ベンダー側のサイバーセキュリティのソリューションやプロダクト事業は、そのカベに突き当たることが多い。
いよいよセキュリティの時代が来るぞ、とベンダーの経営層が思って戦略プロジェクトとして研究・開発投資をする。数年たって(その経営者が生き残っているかどうかは別にして)投資回収が出来ていないことに財務本部長がハラをたて、その事業を取り潰す。
まあそれも時代の流れといえばそうなのだが、可哀想なのは事業部門特にその研究開発にあたった技術者である。戦略プロジェクトに抜擢されるのだから優秀な素質を持っているし自分の研究者としての旬の時期を捧げた研究はカミクズと化してしまう。配置転換されることになろうが、場合によっては企業を離れることにもなりかねない。リスクマネジメントやサイバーセキュリティに関係した人には、大変な苦労の経験者が多いという。その半分くらいは、理解のない経営の犠牲者ではないでしょうか。
<初出:2017.3>