Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

マイナンバーへの長い道(3)

 1999年に住民基本台帳制度ができて、全国民に原則一生変わらない固有の番号が定められた。ただ、通知は来たものの自分の番号を覚えている人などいないだろう。住民基本台帳カードを受け取った人も、非常に少なかった。かくいう僕も、通知をどこかに仕舞ってどこにあるか忘れてしまっている。カードも持っていない。
 
 ただ、行政手続きが煩雑化してきて、IT化したのに業務が合理化(省力化)できていないという行政部門の問題は顕著になってきていた。例えば、児童手当を申請しようとすると、戸籍謄本だけではだめで所得証明を持って来いと言われる。それはどこにあるかというと、となりの窓口にあるという次第。

 ある民間企業出身の市長は、市役所の窓口を内側から見ていて違和感を覚えたという。いわく「銀行など民間では、お客さんは外で待っていて窓口の後方が動き回る。しかし、市役所では窓口は動かずお客さん(市民)が外側を走り回っている」 
 
   f:id:nicky-akira:20190415073822j:plain

 Aさんが窓口に来て本人確認さえ済めば、戸籍謄本も所得証明も不要で、資格があるかを市民データベースでチェックして手当て支給をするかどうか決めればいい話。でも、Aさんは何枚も書類を手に入れるために市役所内うろうろしている。欲しいのは書類ではなく、手当てなのに。

 しかし、市役所側にも課題がある。戸籍のAさんと税所得のAさん、親権者のAさんが同じ人だとどうしてわかるのか?昔のシステムだとカタカナで登録されているものもあり、同姓同名の他人でないと言い切れない。そこで正確さや迅速さのために一元化した番号、という発想が出てくる。
 
 住民基本台帳制度が思ったほど成果を生まないとわかってきたころ、産業界が行政の合理化に関して声を上げ始めた。民間企業は国際競争にさらされて、日々合理化に努めている。それなのに、行政が(相応にIT機器は導入しているのに)合理化が進まないとはどういうことか?税金の無駄遣いだという声が、産業界で盛り上がってきた。
 
<続く>