1999年に住民基本台帳制度ができて、全国民に原則一生変わらない固有の番号が定められた。ただ、通知は来たものの自分の番号を覚えている人などいないだろう。住民基本台帳カードを受け取った人も、非常に少なかった。かくいう僕も、通知をどこかに仕舞ってどこにあるか忘れてしまっている。カードも持っていない。
ただ、行政手続きが煩雑化してきて、IT化したのに業務が合理化(省力化)できていないという行政部門の問題は顕著になってきていた。例えば、児童手当を申請しようとすると、戸籍謄本だけではだめで所得証明を持って来いと言われる。それはどこにあるかというと、となりの窓口にあるという次第。
ある民間企業出身の市長は、市役所の窓口を内側から見ていて違和感を覚えたという。いわく「銀行など民間では、お客さんは外で待っていて窓口の後方が動き回る。しかし、市役所では窓口は動かずお客さん(市民)が外側を走り回っている」
Aさんが窓口に来て本人確認さえ済めば、戸籍謄本も所得証明も不要で、資格があるかを市民データベースでチェックして手当て支給をするかどうか決めればいい話。でも、Aさんは何枚も書類を手に入れるために市役所内うろうろしている。欲しいのは書類ではなく、手当てなのに。
しかし、市役所側にも課題がある。戸籍のAさんと税所得のAさん、親権者のAさんが同じ人だとどうしてわかるのか?昔のシステムだとカタカナで登録されているものもあり、同姓同名の他人でないと言い切れない。そこで正確さや迅速さのために一元化した番号、という発想が出てくる。
<続く>