Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

日本の林業(2)

 ある業界団体では、木材自給率50%(政府目標:現在のおおむね倍)を達成した場合の試算をしている。木材は3つの分野の分けることが出来る。個々に見ていくと、

◆製材 2009年の国産材需要1,058万㎡ ⇒ 2020年の国産材需要2,180万㎡
        自給率     41%          自給率      63%

◆合板 2009年の国産材需要 198万㎡  ⇒ 2020年の国産材需要  590万㎡
        自給率     24%             自給率      62%

◆パルプ 2009年の国産材需要 503万㎡ ⇒ 2020年の国産材需要  1,460万㎡
         自給率     17%        自給率      39%

 結果としての経済効果は1.3兆円、新しく7.9万人の雇用を生むと言っている。2020年の新規住宅着工を80万戸とみていたり、パルプ・チップの需要量を10年あまりで3割近く増えると仮定していて、楽観的ではないかとも思うが、ひとつの予測ではある。

 
 このために国際材を優先的に使うキャンペーンや国産材を示すマーキングなどを提案していて、いくつかの地域でイベントを実施するなど、活動には敬意を表する。確かに近年、都会が自分に合わないと感じる若い人たちが田舎移住を希望し、求める職種のひとつに林業が挙げられるようにもなった。国家予算全体から見ると(特に社会保障費から見ると)微々たる規模だが、助成金もないわけではない。
 

    f:id:nicky-akira:20190411215327j:plain

 日本の山林には、いくつも問題がある。首都圏の近郊はほとんどが人工林(スギ・ヒノキの植林による)で、これが「花粉症」の大きな原因であることは疑いが無い。人工林は高尾山周辺のような自然林とは違って、生態系が豊かではない。自然林に戻すには長い時間と労力がかかるが、それは林業のGDP拡大に直接つながるわけではない。

 むしろ問題なのは、地籍が十分整備されていないことから、誰のものかわからなかったり境界がはっきりしなかったりして、責任・権限が不明確になっている。放棄された森林も含めて責任・権限をはっきりさせて、本当に放棄されたのなら国や自治体で収容して規模を増やし活用を図ることもできよう。

<続く>