Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

憲法改正に向けて

 かなりの圧力になってきた「安倍バッシング」、たんなる「おともだち優遇」への反発だけかと思いきや、こんな見方もできるのかとある意味感心してしまった。この記事によると、安倍総理憲法改正を言い出して、ひょっとしたら出来てしまうかもしれないと危惧した勢力(民進党共産党社民党・メディア)がこぞって「安倍つぶし」のキャンペーンを張っているという。

 現行憲法の、特に自衛隊からみのところに問題があるのは衆知の事実である。かつて自衛隊そのものが違憲であるとして撤廃を迫った社会党だが、政権に就くと村山党首は正々堂々閲兵式に臨んでいる。まともに憲法を読めば、事実上の戦力である自衛隊違憲に決まっている。永世中立国スイスのようになどと言う人がいるが、スイスは国民皆兵の国。実は、軍事強国である。現実問題としてただ、自国の防衛戦力がない無いと困るは当たり前のこと。

 

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 自衛隊問題だけではないが、憲法改正論議が起きるのはある意味当然のことである。憲法アンタッチャブルにして墨守する姿勢には賛同できない。ただ今年の安倍総理憲法改正に向けた動きは、少し性急なように思う。9条だけを取り上げていて、これまでの自民党自らの憲法試案(これもひどいという人はいるし、僕自身諸手を挙げて賛成はしないが)とも異なる内容になっている。

 いろいろな憶測があって、安倍総理は再び健康不安があるので在任中に一度は「憲法改正した」という実績を作りたいのだとか、憲法改正議論を巻き起こして党内一致がありえない民進党をぶっ壊すつもりなのだとか、巷間言われている。僕も真意は全く分からないのだが、それを推し量るには8月の改造内閣を見れば分かるかもしれない。

 民間から橋下元大阪市長でもいれるなら、これは人気取りではなく憲法改正シフトだ。菅官房長官の交代ありやも含めて、しばらく興味を持って永田町を見ていられそうですね。

 

<初出:2017.7>

上手の手から水が漏れ

 都議会議員選挙の結果は、あっけないものだった。一地方議会選挙ではあるのだが、各党国政選挙並みの体制で臨んでいた選挙であるから、影響は小さくない。公明党との選挙協力がなく、しかるべき対抗勢力があれば自由民主党も厳しいということがはっきりした。それ以上に、世界的な現象として「既成政党への不満」が爆発している連鎖に、日本も無縁でなかったことが分かったのは大きい。

 
 毎度の「全員当選」を果たした公明党や「確かな野党」の共産党はともかく、自民党は歴史的大敗、民進党は存亡の危機にある。議員センセイは落選すればただの人であるから、当選するためならなんでもする。組織が相応にしっかりしていた自民党は少なくとも選挙前の「脱藩」は無かったようだが、民進党は執行部の求心力のなさから離党者があいついでいた。要するに「反自民」で選挙に勝てそうなところであれば、鞍替えは容易だということ。

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 都民ファーストの会という対抗軸があって、マスコミでも良く取り上げられるならそちらの方が有利に決まっている。結果フランスの総選挙でのマクロン新党躍進と似たようなことになり、議員の顔ぶれがずいぶん変わった。小池知事の言う「新しい議会」になったのだが、良し悪しは五分五分だろう。あきれかえるような不祥事が、都議会新人議員に起きないよう祈りたい。
 
 都民ファーストの会の躍進には、自民党の失策も大いに寄与した。森友問題に加計問題、真由子様の暴言や防衛大臣の失言などはマスコミの好餌となった。加計問題では、前川元事務次官の挑戦はカマキリで終わるか、蜂の一刺しになるか、と思っていたが、ついに政局にまで仕立てたのには驚いた。
 
 
 本件は、最強の官邸の実質的リーダーである菅官房長官の「上手の手から水が漏れた」のだと思う。しっかりグリップしていた事務次官に、退職後かみつかれたことに激高したとの報道もある。ここで退いては霞ヶ関の掌握にマイナスになると考えて突っ張ったのだろうが、結果は裏目に出た。それにしても気になるのは、直ぐに出てきた「出会い系バー通い」の話。加計問題とは全く関係のないことを持ち出したのは、上手い策ではなかったと思う。
 
 それだけでなく、こういうネガティブ情報を官邸が握っていて、不都合なことをすれば社会的に抹殺するぞという用意をしていたのではないかとも疑える。組織的天下りで窮地に陥りながら辞めようとしない次官に、この件の公表をちらつかせて辞任を迫ったのだとしたら?辞任後かみついてきたので、カッとなってネガティブ情報を暴露した、というシナリオすら考えられる。最強の官邸の源泉は、単に人事を握っているだけではなく高級官僚などのネガティブ情報を持っているからだとしたら・・・。
 
 8月といわれる内閣改造官房長官の留任があるのかどうか?もし交代となれば、それは誰か?その場合、菅氏の情報ネットワークは引き継がれるのか?興味は尽きませんね。
 
<初出:2017.7>

不動産王への期待

 共和党の大統領候補ドナルド・トランプ氏は不動産王として有名だが、選挙戦の最中にまた問題発言をしたらしい。9.11で世界貿易センタービルが崩壊した後に、自身の所有するビルがニューヨークの一角で一番高くなったと自慢したとのこと。
 
 
 国を挙げて犠牲者を悼むタイミングでのこの発言、うなづけないものがある。一方、ワシントンDCのペンシルバニア通り沿いに、トランプ氏のホテルが開業。この通りが、大統領就任パレードのルートにあたっていることもあって、批判を浴びている。ちなみに1泊最低4万円。
 
 彼は以前東京で、広い土地を見つけ「あそこには誰が住んでいるのだ」と土地を購入したいとの意思を示したという。その場所とは、皇居だった。問われた日本人も、答えに窮したことだろうと思う。

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 あえて言うとだがその飽くなきビジネスマインドに、期待する向きもあるかもしれない。既存の政治家に任せてきたばかりに、「アメリカは偉大ではなくなってしまった」し、「中間層が没落した」と言えなくもない。何度かの倒産から蘇ったのだから、能力があるのだろうだから国も立て直してくれる・・・と。
 
 倒産する前に立て直すのがしかるべき経営とは思うのだが、それはともかくアメリカ国民の焦燥感は理解できるような気もする。画像はワイキキの西寄り"Fort Derussy" 公園を臨むところに、10年ほど前に立ったトランプホテル/コンドミニアムである。そこは米軍の施設であり、見下ろされることは望まないはずだが、トランプ氏には抵抗できないのでしょうかね?
 
<初出:2016.9>

OHIO, the Rust Belt

 1960年以来、オハイオ州を落として大統領になった人はいない。選挙人18人を持ち激戦州として知られるオハイオ州には、大統領を決める州というジンクスがある。ラスト(錆びた)ベルトという言葉は、今回の選挙まで知らなかった。オハイオ州がそんなに寂れたところだという印象は、持っていなかったからだ。

 もちろん僕自身は行ったことはない。しかし今年オハイオ州の政府関係者と会う機会があって、いろいろ良い点を吹き込まれていた。いわく、

 ・エリー湖に面していて、クリーブランド始め良港が多い。
 ・全米でも十指に入る人口の多い州。
 ・中でも人口の1/4が未成年で、若い労働力が多い。
 ・大学も多く、教育程度が高い。
 ・航空路線が発達していて、ニューヨーク・ワシントンDC・ボストン・シカゴ等へ

  の移動も便利。
 ・それゆえ、世界的に名の通った企業の本拠地が、州内にある。
  P&G、メイシーズ、ディーボルト、グッドイヤー、アバクロンビー&フィッチ他

 五大湖の水利があるので、シカゴなどと並んで重工業が盛んだったようだ。重い原材料を入れ重い製品を出荷するには陸路より水路の方が有利である。また湖なので外洋のような波浪対策は必要ない。オハイオ州の製造業の総生産額は、全米でベスト3に入るという。その重い工業が徐々にすたれ、人口増加も頭打ちになっているのが現状である。

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 人口の約80%が白人。彼らはこの30年ほど、ほとんど無視されてきた。製造業が日本や中国、さらにASEAN諸国に移ってゆく関係で、米国政権は金融とICTに産業の軸足を移した。また彼らよりさらに厳しい経済状況の人たち(含む移民・難民)には、オバマケアなどで環境を緩和した。それゆえ彼らは「忘れられた市民」になっていたし、自らもそう感じていた。

 忘れられてサビてしまった人たちの怒り、それを代弁したのが(品位に問題はあるが)トランプ候補だったということである。
 
<初出:2016.11>

タスク・フォース

 米国海軍は真珠湾でほとんどの主力艦を行動不能にされ、フィリピンにいた巡洋艦隊も壊滅してしまった。米軍は、西海岸や大西洋から補充した艦艇で、当座をしのぐしかなかった。手もとにあるのは、数隻の空母と巡洋艦だけである。
 
 日本軍は、フィリピン、インドネシア、マレー、シンガポールを占領しニューギニアに進撃してきた。ニューブリテン島のラバウルという港町にも基地を建設、フィジーサモアやオーストラリアに迫ってきた。正規航空母艦サラトガが戦列を離れ、空母は3隻だけ。米国海軍は、1隻の正規空母を中心に3つのタスク・フォースを作った。
 
 これを単独、もしくは複数で、焦点となる戦場へ送ろうというのである。画像は、2つのタスク・フォースを示したものである。2つのグループの距離は実際には十分離れている。主力は正規空母エンタープライズ・ホーネット(対空火力6・防御力4)である。護衛に重巡洋艦(砲撃力6・対空火力2・防御力5)と軽巡洋艦(砲雷撃力2・対空火力6・防御力3)が付いている。

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 この軽巡洋艦アトランタ・ジュノーが、切り札である。この艦は、日本軍の金剛型戦艦の倍の対空火力がある。英国海軍も開発した「防空巡洋艦(CLA)」に類したものだ。英国は旧式軽巡洋艦の主砲や魚雷を降ろし対空砲を積んだが、米国海軍は専用艦を新造したのだ。このクラスは、12.7cm高角砲を16門も積んでいる。
 
 空母そのものの対空火力も、日本軍のそれの倍ある。護衛の防空巡洋艦を合わせた対空火力12というのは、日本の攻撃機にとって脅威になるだろう。一方、1942年の時点では米軍の攻撃機の能力が低く、守りは固いが攻めが心もとない米軍と、攻めには強いが守りはもろい日本軍という奇妙なバランスがとれていた。
 
 米軍の空母1隻単位のタスク・フォースは、英軍の空母1隻づつ艦隊に配備するものとは違う。英軍は主力艦も含む艦隊防空や偵察のために空母を配備した。以前、プリンス・オブ・ウェールズとレパルスの紹介したが、その時空母インドミダブルが随伴していたら、2隻は助かったかもしれない。
 
 米軍のタスク・フォースは、できれば複数の空母で目標を破壊することを目指したものである。その点、日本軍の空母集中運用と同じなのだが、日本軍はいったん敵に発見されたら全部の空母の位置が分かってしまう。米軍の「分進合撃」方式なら、1つのタスク・フォースの位置が露見しても、他のタスク・フォースは安全なまま敵を狙うことができる。日本軍の指揮官は「もう1隻の空母はどこにいるんだ!」と焦燥をつのらせることになる。
 
1940年代初期の短い期間、航空母艦という新しい兵器の運用について、各国が試行錯誤を重ねたことがあったと歴史は伝えている。
 
<初出:2016.7>