Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

政策担当者への伝言

小さな国の財政・交通政策

欧州の歴史を見てみると、為政者のランキングとして、皇帝・王・大公というものがあることが分かる。おおむね施政範囲の規模によるもので、神聖ローマ帝国くらいのサイズを治めるのが皇帝、皇帝からある程度の土地を任せられたのが王、さらに小さな規模の土…

20世紀の残り物(指定金制度)

指定金融機関制度というのは、自治体などの公共料金収納業務をいくつかの金融機関を指定してとりまとめさせる制度のこと。かつて当座預金口座にお金がそこそこ残留している時期には金融機関側にも多くのメリットがあり、収納に関する煩雑な作業を銀行などが…

司法の在り方、東西の意識

すでに国際的な取り決めで決着していた第二次世界大戦時代以前の「徴用工」問題、文大統領は「個人の請求権は失われていない」として韓国の司法判断を支持した。日本政府や当該企業にとっては、まさに「藪から棒」という印象だろう。国際的な取り決めが守ら…

指定金融機関の憂鬱

鳥取県日南町、中国山地の真ん中に位置する町で、現在の人口は4,700人余り(平成27年)。昭和35年には15,000人を超えていたのだから、1/3以下になってしまった過疎の町である。ここで、鳥取銀行が支店を引き上げることを公表すると、町長がその報復として5.6…

英国のデジタル課税案

欧州各国が、いわゆるGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)に怒っていて、あら捜しをしたりあらたな規制を持ち出そうとしている話は以前にも紹介した。急成長した彼らだが、故意か失策かは別にして税金の払い方などで現地政府ともめるネタを提供している…

スカスカ法案の意味

事実上の移民政策と言われた入管法改正案、昔懐かしい牛歩戦術まで飛び出したが結局は成立した。メディアの多くは、生煮えの法案、強硬な国会運営などと批判したが、一方労働力を留学生や技能実習生に頼っている農業・外食・介護などの現場からは期待する声…

アトリビュートという芸

このところやたらと「ロシアの無法ぶり」報道が多い。中には元スパイを暗殺した/しようとしたというものも、IMF条約に違反して軍縮をしていないというものもあるが、特に目を引くのがサイバー攻撃からみのもの。世界ドーピング機関(WADA)を狙った攻撃を仕…

顔認証技術の乱用防止

昔のミステリーを読んでいると、目撃者に聞き取りをして容疑者の容貌をハンドライティングする場面が出てくる。捕物帳まで古くなると「人相書き」というものが辻々に張り出されるのを見て、盗賊が慌てるシーンもある。少し近代になると、モンタージュ写真を…

偽ニュース取締法への危惧

「Fake News」は、何もトランプ先生だけのケンカ売り言葉ではない。今やサイバー攻撃と並んで、偽ニュースの流布が大きな社会問題になりかかっている。例によってGAFA憎しの欧州委員会は、年内に偽ニュース対策をするよう彼らに要求したり、新しい規制を…

地方議会の議員定数割れ

平成の大合併の成果で、自治体の数は1,700あまりに減った。企業の場合でも同じだが、合併当初はポストの重複に悩むものだ。一時期、合併後の議員定数が人口に比べて膨れ上がってしまったり、高い方の報酬水準に合わせた結果議員歳費が増えてしまったりという…

ここでは故人情報も保護対象

総務省が「クラウドサービス事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に冠するガイドライン(第一版)」の案を公表し、意見募集をしている。いわゆるパブリックコメント(略してパブコメ)というもの。こういうドキュメントは、実際の筆は官僚が持つことが多…

司法取引制度の導入

日本の司法制度も、少しづつ欧米化(国際化?)しているようだ。裁判員裁判は米国の陪審員制度を参考にしながら、量刑まで市民感覚で決めるという点で一歩進んでいるのかもしれない。ただ導入9年を経て裁判員の辞退者が70%に迫るなど課題も見えてきている。…

検証、$1=75円

今月、多くの経済評論家の皆さんの意見も聞くことなく「為替」について、$1=75円が妥当ではないかなどと無謀な記事を書いた。もちろん私は金融の専門家ではない。それでもこういう話に首を突っ込みたくなるのは、多くを日本円でもっている僕のお金(大し…

やっぱり$1=75円では?

またワシントンDCへいく羽目になり、出張の準備を始めた。政治の町だからしょうがないのだが、諸物価が高い。いい加減なホテルでも一泊$300はする。しかし米国居住者に聞くと、旅行者の僕にはわからない高額なものがあるという。それは医療費と学費。確か…

購買力平価から見た日本のデフレ

日銀黒田総裁の続投が決まり、「異次元緩和」は続きそうな気配である。一方このところ為替レートは1ドル=110円からやや円高に振れている。僕は旅先でスーパーマーケットをのぞいたりして「1ドル=1ユーロ=100円」だと感じているから、そちらに向かって…

戦後日本、幼年期の終わり

今年のG7「シャルルボア・サミット」も終了した。トランプ先生は早々に米朝首脳会談に向かったようだが、残された6人の政治指導者はどんな心持ちだったのだろうか。国際政治として、世界をリードしてきた米国の凋落は著しい。これからの世界はどうなるの…

二重国籍の是非

評論家の八幡和郎氏はずっと民主党代表だった蓮舫議員の二重国籍問題を、誰よりも厳しく追求し続けてきた人である。この記事も、蓮舫議員のことをいっているわけではないのに議員の写真が添えてある。メディア側の忖度かもしれないが。 https://headlines.ya…

放送と通信の融合(後編)

さらには米国中心のインターネット大手も堂々と参入、豊富なコンテンツやサービスをもって静かな革命を起こし続けている。業界関係者は程度の差こそあれ今の事態をうすうす感づいていたから、放送通信融合時代に自社は何をするべきか考えていた。しかしその…

放送と通信の融合(前編)

政府の規制改革推進会議(議長:大田弘子政策研究大学院大学教授)が、放送法の改訂など含めた放送業界の規制改革を議論している。争点となっているのは、 ・放送の政治的公平性を求めている放送法4条の撤廃 ・外資の参入規制撤廃や、放送設備と番組制作の…

情報通信省への期待

もり・かけ問題に加えて、防衛省の日報隠蔽疑惑も出てきて霞ヶ関、永田町(市ヶ谷もだろうが)は大騒ぎである。そこで出てきたのが「省庁再々編」という話。まさか防衛省をどこかと一緒にしようなどと思わないだろうが、公文書改ざん問題の出た財務省からは…

北極海航路への期待

IT屋ではあるが単にITを作っているだけでは飽き足りず(というかモノづくりでは役に立たず)、ITを何に使えばいいかを早くから、僕は考えていた。その結果いろいろな業界(金融、建設、運輸、行政など)に首を突っ込んだ。以前5回にわたってご紹介し…

これだって「生物兵器」

普通「生物兵器」(Bio)と言えば、天然痘ウィルスのような病原菌をバラ撒くイメージが強い。パンデミックを起こさせることも可能なので、大量破壊兵器として核兵器(Atomic)、化学兵器(Chemical)と並んでABC兵器とも言われる。しかし病原菌のような小…

人工知能の政治利用

与野党の審議/質問時間配分を巡って、昨年の臨時国会からもめている。これまで野党に多くの時間(80%)を割くという方針に、より多くの議席を持つようになった与党から不満が出て、議席配分にしてはどうかというもの。一方の野党は、そもそもこの配分は自民…

変動するコンテンツの価値

デジタル化は多くの産業に構造改革を迫り、ある意味「破壊神」のように振舞ってきたのは事実である。時計・オーディオ・カメラ等々、ついにその触手は自動車産業にまで伸びている。人工知能などと大げさな単語を使わなくても、デジタル技術は間違いなく「玄…

国勢調査の見える化

以前富山市の森市長が、住民基本台帳の4情報(氏名、生年月日、住所、性別)を使って市の住民の居住状況、分布をビジュアル化して市政に生かしているということを紹介した。高齢者が市の中心部に多いことが一目でわかり、公共交通機関の整備や高齢者施設の…

中国製5G製品の調達

第5世代移動通信システム(以下5G)の実用研究が世界で進められている。純粋に技術としてみると、従来の4G(一般に厳密な4Gではない、3.9GのLTEなども含む)と比べると、以下のようなケタの違う高性能を発揮する。 ・超高速の通信速度 10Gbps(LTE…

ハードウェアに潜むマルウェア

世界の製造工場である中国では、様々なものが作られて世界へ送られている。ICT関連のハードウェアも例外ではない。たとえばHUAWAIのルーターやZTEのスマートフォンなどである。今回、米国の国防総省では軍関係施設でのこれらの機器を販売やサポ…

弁護士センセイの制度改革

21世紀になって、日本では2つの司法制度改革が進行した。ひとつは裁判員制度であり、もうひとつは法科大学院拡充などによる弁護士人口の増加である。今回は後者を取り上げたい。平成元年の時点で13,000人程度だった弁護士登録者は、今や40.000人程にもなり…

デジタル屋が見た米中対立(後編)

かくも大きな国が違う価値観で存在するようになってしまい、危機感を持った米国が今回は中国包囲網を敷き始めたのだろう。しかし中国が巨大な市場であることも確かで、日本政府や企業はどうすべきかというのがいろいろなところで議論され始めた。中国通の人…

デジタル屋が見た米中対立(前編)

APECの首脳会議が終わって「首脳宣言」が出せなかったことは、これまでなかったそうだ。原因はもちろん「米中対立」、ペンス副大統領は「中国がやり方を改めない限り、米国もやり方を変えない」と一歩も退かない姿勢を見せた。これはAPEC諸国などに「一帯一…