以前富山市の森市長が、住民基本台帳の4情報(氏名、生年月日、住所、性別)を使って市の住民の居住状況、分布をビジュアル化して市政に生かしているということを紹介した。高齢者が市の中心部に多いことが一目でわかり、公共交通機関の整備や高齢者施設の新設など中心部を優先する政策への市民の賛同を得た。周辺部が地盤の議員も、こういうことを見せられれば「もっとこちらの整備に力をいれろ」とは言いにくい。
全国的に沿岸部の所得が高く、中部エリアは低いことは誰でも知っている。それもビジュアルに確認できるなら意味はある。さらにラストベルトの地域がやはり困窮していることや、一般に所得が高いマンハッタンでも北部などは貧困の傾向があることもわかる。これらの基データは国勢調査によるものだそうで、色分けされた1ドットが1世帯を表せるはずだから、地区や市街の単位での政策検討にも生かせそうだ。
このようなデータは、政治だけではなく民間で活用できるなら経済効果もある。日本で言えば、お歳暮の折り込みチラシに「松・竹・梅」があるのなら、地域毎に折り込むものを変えることもできるわけだ。1ドットの単位まで公開してしまうとプライバシー侵害の可能性があるから、ある程度の大きさで統計値として公開するべきだが、活用の道はいろいろありそうですね。
<初出:2018.3>