Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

小さな国の財政・交通政策

 欧州の歴史を見てみると、為政者のランキングとして、皇帝・王・大公というものがあることが分かる。おおむね施政範囲の規模によるもので、神聖ローマ帝国くらいのサイズを治めるのが皇帝、皇帝からある程度の土地を任せられたのが王、さらに小さな規模の土地を持っているのが大公というわけ。

 
 イギリス王室は王だからイングランドとかスコットランドは王が治めるべき規模だし、ウィーンの郊外に城を持つマルコ殿下は大公である。小さな規模の大公領であるが、今でもヨーロッパには3つの大公国が残っている。グランプリで有名なモナコ、一番小さな国と言われるリヒテンシュタインともうひとつがルクセンブルグ
 
 ルクセンブルグはベルギー・オランダと並んでベネルクス三国とも言われ、英独仏の境目にあたるので20世紀の2度の世界大戦では必然的に戦場になった。アバロンヒルのゲーム「第三帝国」では、年間5ポイントしか得られないルクセンブルグに宣戦布告するのに10ポイントもかかるので、ドイツプレーヤーとしては一切の戦力を持たないこの国に侵攻するかどうか、戦争経済学上大変悩むことになる。

    f:id:nicky-akira:20190623221408p:plain

 この小さな国ルクセンブルグが有名なのは、国民一人当たりのGDPが高く世界第三位であること。小さな国だからだろうが、税制や法人政策で自由度が高く、国際金融機関などGDPに寄与する企業を誘致しやすい。財政の余裕がある国だからか、世界で最初に公共交通機関を全面無料にするとの記事があった。
 
 
 ここにあるように国外からの通勤客も多く、渋滞対策や環境対策で自家用車を減らしたい意図もあるという。多分交通機関の運営のうち、料金の回収にかかるコストも馬鹿にならないこともあると思う。欧州各国の公共交通機関では、ICカードの導入や改札口の廃止などが進んでいるが、今後は無料化に進んでいく一つの方向性だと思う。
 
 旅行者としての僕はタクシーは好きではないですが、公共交通機関の乗り方がそれぞれ違いがあって慣れないと利用しづらいのも困ります。もう欧州全部、市内の公共交通機関は無料にしてくれるとありがたいですね。
 
<初出:2018.12>