Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

デジタル屋が見た米中対立(前編)

 APECの首脳会議が終わって「首脳宣言」が出せなかったことは、これまでなかったそうだ。原因はもちろん「米中対立」、ペンス副大統領は「中国がやり方を改めない限り、米国もやり方を変えない」と一歩も退かない姿勢を見せた。これはAPEC諸国などに「一帯一路」の旗のもとに主権を脅かすほどの債務を抱えさせていることや、欧米とは異なる知的所有権の扱い、国内の少数民族への人権侵害などを示しているものと思われる。

 一方習主席は「保護主義自国第一主義を掲げて、世界経済の成長を阻害しているのは米国だ」と非難している。双方の理屈がそれなりにスジが通っていることも、問題の解決を難しくしている。結局、双方の主張は変わることなく(変わるはずもなく)、「首脳宣言」のとりまとめには至らなかった。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3791163018112018000000/ 

 

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 これに似た話を1ヵ月ちょっと前に聞いたのだが、今週末ブエノスアイレスで行われる予定のG20に向けて、産業界が共同の意見書をまとめる過程でのことである。G20のビジネス版なのでB20と言われるこの会議で、米国はじめ何カ国かが「国家的企業が市場をゆがめている」との表現を盛込もうとしたところ、中国産業界代表が激怒、「次はB19になるぞ」と捨て台詞を吐いて席を立ったという。

 中国の産業統制は、日本の僕らの考えるものとはレベルが異なる。TOPが「こうせよ」というと、しかるべき期間の後にはそうなってしまう。エネルギー・鉄道・通信その他インフラ産業の政府による統制は、日本でもある程度はあるがかの国では軍隊と同じ様な指揮命令によって、事業の方針が変わってしまうほどだ。国家が発展して行く過程でこういうプロセスが必要な時期もあるのだが、すでにかの国は世界第二のGDPを誇る巨大国家である。

 
<続く>