Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

司法の在り方、東西の意識

 すでに国際的な取り決めで決着していた第二次世界大戦時代以前の「徴用工」問題、文大統領は「個人の請求権は失われていない」として韓国の司法判断を支持した。日本政府や当該企業にとっては、まさに「藪から棒」という印象だろう。国際的な取り決めが守られないなら、その国とは通常の付き合いができない。

 
 韓国は国内にある当該日本企業の資産を差し押さえる姿勢も見せていて、そうなったら日本政府も国内の韓国企業の資産凍結で報復するだろう。ポピュリズムも極まれりの文政権だが、そこまでしても支持率は下げ続けている。これで日韓の経済関係はさらに冷え込むだろうから、ますます倒産は増え若者の失業率は上がるだろう。
 
 それはさておき、本来政治からの独立を保たなければいけない司法がポピュリズム判決を出したのは、国際的にはもっと問題だ。国際条約を政治が批准した後、国内司法がひっくり返せるとするなら国際条約などは紙切れ(PDF?)に過ぎない。少なくとも国際司法の場に委ねるべきだった。

 日本人はこのように韓国の司法に怒っているのだが、実は自らもちょっと悩ましい視線を浴びている。それがいわゆる「ゴーン事件」。年間10億円ほどの報酬を得ながら日産グループを食い物にし、退職後のウラ金までプールしていたとの疑惑である。恐らく検察スジだろうが、毎日のように

 ・レバノンやブラジルに豪華な別荘を会社のカネで購入、家族で豪遊していた。
 ・姉などの名義で、実体のない貢献に対してカネを払わせていた。
 ・ブラジルの大統領選挙に出るための工作をし、資金を集めていた。
 ・私的な投資の損失(18.5億円)を会社に付け替えていた。

 などとの報道が出て、視聴者は「ゴーンはひどいやつだ」と思うようになっている。

https://biz-journal.jp/2018/12/post_25911.html 

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 先日在日の外国人弁護士と話す機会があり、雑談の中で「ゴーン事件」も話題になった。彼からすると、日本の司法はひどいとのこと。これは韓国の「徴用工判決」と同じくらい常識を外れていると、彼は言う。メインの容疑はウラ金疑惑だが、これも確定していなければ決算書に書く必要はない。
 
 彼が(米国の)検察なら立件できない容疑だという。その他の件も、企業と役員の関係だけの問題でどのような報酬を払うかは契約によって決まるので、豪華な別荘も当然ありうるわけだ。10億円という年収も、グローバル(ケダモノ経済)スタンダードなら決して高くは無い。たとえウラ金が15億あったとしても、合計たかだか25億円ではないか。

 さらに拘留期限も長すぎる、と彼は批判した。ただでさえ米国の感覚では長すぎるのに、次々と似たような容疑で拘留期間を延ばすやり方はそれ自体拷問だよねとのこと。かくも有名な人なので逃げ隠れできるはずもなく、被疑者には逃亡の可能性はほぼない。さっさと保釈しないのは、被疑者に精神的圧力をかけるためで、これは司法のあるべき姿ではないという。そういえばファーウェイのCFOも、足首に発信機をつけてではありますが保釈されました。そのあたりが、東西の司法の意識の違いのようです。
 
<初出:2018.12>