Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

20世紀の残り物(指定金制度)

 指定金融機関制度というのは、自治体などの公共料金収納業務をいくつかの金融機関を指定してとりまとめさせる制度のこと。かつて当座預金口座にお金がそこそこ残留している時期には金融機関側にも多くのメリットがあり、収納に関する煩雑な作業を銀行などがタダ同然で引き受けるある種の「もたれあい制度」だったことは以前紹介した。
 
 すでにそのメリットが無くなって久しく、これまでの付き合いでいやいや指定金を続けている銀行も多いだろうと思っていた。ただ体面を重んじる銀行業界だからヤセ我慢をしても、自治体に向かって返上を言い出すことはないだろう。
 
 あるとしたら何かの大きな変化のとき、例えば合併によって体制が変わったときくらいに思っていた。A県のa銀行とB県のb銀行が合併、a銀行の方が頭をとってB県の指定金を辞退するようなケースだ。しかしFinTechなどにも積極的に取り組んでいて先進的と言われる三菱UFJ銀行は、関西地区10市の指定金融機関を辞退するとの記事があった。

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https://www.sankei.com/economy/news/190226/ecn1902260002-n1.html 

 このメガバンク三和銀行(関西中心)、東海銀行(名古屋地区中心)、東京銀行(国際業務に特徴)を三菱銀行が飲み込むような形で誕生している。今回切り捨て(失礼)られるのは旧三和銀行とつながりの深かった街を推測される。次は名古屋地区が辞退の対象になるのかもしれない。
 
 自治体も困るだろうなと思いながら、やはり根本問題は公金収納に手間(コスト)がかかりすぎることにあると思う。収納伝票(紙)を持ち込まれたら領収書(紙)を切り離して領収印を押印して返すことが、昭和24年の大蔵省令100号に書いてあって、銀行はこれを守るために紙の管理・輸送業になってしまっていた。このようなデジタル技術のない時代の規定が、恐らくはまだ生きているのだろう。

 銀行の業務は、かなりの部分がデジタル化されてきた。ただこういう公共機関とつながっているところはデジタライゼーションから取り残されている。それというのも公共機関の業務のデジタル化が進んでいないからだ。指定金融機関制度の崩壊は自治体にとって困ったことでしょうが、基はと言えば自分のデジタライゼーションの遅れが原因ということを理解してもらえば対処法は明らかだと思います。
 
<初出:2019.3>