Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

顔認証技術の乱用防止

 昔のミステリーを読んでいると、目撃者に聞き取りをして容疑者の容貌をハンドライティングする場面が出てくる。捕物帳まで古くなると「人相書き」というものが辻々に張り出されるのを見て、盗賊が慌てるシーンもある。少し近代になると、モンタージュ写真を合成して手配するようなこともある。

 
 昨今のデジタル革命で、顔を認識する技術のいろいろな分野への適用が進んでいる。先日バンクーバーから帰国した時、羽田の入国審査が自動機になっていた。パスポートをスキャンさせその顔写真と人物を比較することで本人認証をしている。
 
 重要施設の入室管理にはかなり以前から使われていたが、その時代は特定の登録された人しか使えなかった。今では不特定多数の「顔認証」も可能になったので、ホテルのチェックインやインターネット上のサービスにまで使われる。便利になるのはいいのだが、この技術も(他の技術同様)悪用が可能だ。

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 例えば、中国で少数民族の動向監視に使われているとの記事もあった。少数民族対策に限らず、かの国ではいろいろな人たちの監視に使われていることは想像に難くない。
 
 
 このようなことを懸念してか、顔認証技術の大手マイクロソフトのTOP自らが、当該技術の規制を呼び掛け始めた。技術者/企業が自らの技術を縛る提案をするというのは、あまり例はない。
 
 
 マイクロソフトは具体的な規制案は語っていないが、共和党民主党にまたがる検討会を設置するよう提案している。GAFAと呼ばれるインターネット企業群よりは少し前に登場したマイクロソフト、華々しい成長期は終わったかもしれませんが、着実に世界規模の企業市民として地歩を固めているようです。
 
<初出:2018.8>