Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

政策担当者への伝言

データフローのレシプロシティ

世界でひとつのインターネット、どこでも誰でも同じサービスを受けられる・・・というのが僕たちの理想なのだが、この理想の障害となっているのがいくつかの国の「インターネットに国境を立てる行為」であることは、以前にも紹介した。 その代表格は中国、い…

BATJ vs GAFA

BATJという言葉を最近耳にするようになってきた。GAFAとは、米国発のインターネット企業であるGoogle, Amazon, Face-book, Appleのことだが、これに対抗する立場の中国系企業群のことである。カッコ内は時価総額。 B : 百度 (642億ドル) A : 阿里巴巴 (…

笹川平和財団の提言(後編)

提言の主旨は3つ。まず最初に英米などに比べて、日本にはサイバー攻撃に対応する政府機関が一元化されていないのが弱点で「サイバーセキュリティ庁を創設せよ」とある。内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)という組織はあるのだが、実行部隊が少なく…

笹川平和財団の提言(前編)

霞ヶ関の南、虎ノ門から溜池山王にいたるエリアには、シンクタンクがいくつかある。笹川平和財団もそのひとつ。「公営競技」を取り仕切っていた故笹川良一氏が設立したもの。僕自身は仲間内でする麻雀以外のギャンブルは全くしていないが、人生で2度関わっ…

こんなところでもAIが雇用を奪う?

4月はいろいろなもの一新され、TVでも当然大きな番組変更が起きている。NHKが「AIアナウンサー」を導入するというのが、業界に衝撃を与えている。平日夜11時という目立たない時間だが、5分だけ「ニュースのヨミ子さん」が登場する。 このところのN…

政策対立軸の作り方(3/終)

それでは、どのような政策対立軸が考えられるのだろうか?外交・内政の区別で言うと、外交や安全保障については政権交代があっても継続する方が好ましいので争点化すべきでない。政権交代したら、突然「日米同盟破棄」などとなっては困る。まあ、共産主義革…

政策対立軸の作り方(2)

批判があったせいか一時期若狭議員らの言っていた「一院制」、最近は効かれない。確かに、過去には「こんなものいらない参議院」という議論もあった。予算など衆議院で可決されたら、放っておいても成立してしまう。解散総選挙はないし6年と長期にわたり議…

政策対立軸の作り方(1)

細野・若狭新党も準備が整わない状況で、民進党を中心とした野党共闘の行方もグレーな今、確かに与党としての解散総選挙の好機ではある。もちろん大義名分が立つかという疑問はあるのだが、勝てば官軍というのもまた真理である。少数政党や無所属議員にとっ…

インターネットはアメリカのもの

確かに昔はそうだった。しかし、今では世界中の人のものである。インターネットは「世界インフラ」なのだ。ところが、今でも「アメリカのものだ」と思っている人たちがいる。今日、Uber が中国国内での事業から撤退することになった、との報道があった。Goog…

Credit in Internet Economy(3/終)

信用を中央銀行なり国なりが付けていない「通貨」というのが、これら仮想通貨の最大の特徴である。過去に流通したどのような通貨もなんらかの公的機関(たとえ亡命政府だとしても)が信用を付けていた。まあ、信用するかどうかは市場次第であるが。政府その…

Credit in Internet Economy(2)

総じて、日本人のクレジット・カードについてのリテラシーは高くない。僕も「無くても不便を感じない」まま会社員ライフを始め、入社4年目に初めての海外出張に行くことになって、1枚目を作ったくらいである。 クレジットの業界は、全体を統括する「ブラン…

Credit in Internet Economy(1)

アメリカは、クレジット・カード大国だ。1$でもクレジット決済ができるから、よほどの事情がない限り50$も持って歩く必要はない。50$札や100$札を出したら、逆に怪しまれる。"Credit" を直訳すると「信用」。ちゃんとお取引できる相手ですよ~と…

インターネットの安定運営(3/終)

DDoS攻撃は古くからあるものだが、攻撃用の端末がPCに限定されていたころの脅威は今とは比べ物にならない。また国際社会のインターネット依存も当時とは比べ物にならなくなっている。攻撃手段が増し、攻撃による被害・社会への影響も増している。脅威…

インターネットの安定運営(2)

Dyn社へのDDoS攻撃は6時間以上続き、米国政府は国土安全保障省(DHS)も事態を重く見て監視状態に入った。英国政府は自らのサイトのドメイン管理を、Dyn社から別の管理機関に移した。 Dyn社に襲い掛かった端末の数は、数千万に及ぶという。…

インターネットの安定運営(1)

しばらく前から世界はサイバー戦争の世紀に入ったとする報道や、論調が多く発せられるようになっている。今回それを実感させる事件が起きた。 10月21日、Netflix・Twitter・Reddit・Spotifyといったサイトが広範囲にわたって使えなくなるという事態が発生し…

欧州との個人情報の流通(4/終)

改正個人情報保護法24条は以下のいずれかによって、国内と同様に外国の第三者への個人データの提供が可能だとしている。 (1)外国にある第三者へ提供することについて、本人の同意を得る。 (2)外国にある第三者が個人情報保護委員会の規則で定める基準…

欧州との個人情報の流通(3)

日欧間の個人情報移転に関して、片務的だが「十分性認定」を取りに行こうという意見と、双方向性(レシプロシティ)のあるものを目指すべきだという意見が日本の中で対立した。これに加えて、政府担当部署の違いもあって整理が必要になった。 ・日欧EPAを…

欧州との個人情報の流通(2)

日欧EPAには、国境を渡るデータの自由の確保が盛り込まれると聞いているが、欧州の個人情報保護法強化との関係については整理が必要だ。これまで欧州は日本の個人情報保護法が「ザル法」で、欧州の大事な個人情報を渡して安心できる相手国とは思っていな…

欧州との個人情報の流通(1)

日欧のEPA(経済連携協定)交渉が大枠合意に至ったという。安倍首相は、今月のG20サミット(今年はドイツが議長国)までに決着を図るとしていた。とかく農業分野などでTPP同様業界の懸念が報道されるが、僕たちから見ると「貿易の自由化だけでなく、投…

対馬海峡の海底トンネル

旧「満鉄」営業開始から110年というので、いくつかの関連記事が出ていた。中国東北部を「満州国」として、日本が衛星国化していたことは事実であるが、全域を支配できていたわけではない。中国大陸に侵攻した時でも、重要な都市とその間の連絡線を確保できた…

今こそ考える「マイナス投票」

「事実は小説より奇なり」とはよく言ったもので、先週の衆議院解散から日本の政局はめまぐるしく動いた。保守の自由民主党、革新の社会党がみせかけの対立を演出し、その周りを中道民社党、創価学会公明党、革命標榜の共産党が回っていた「昭和55年体制」の…

有体物法と情報法

暑い中、休日だと言うのに三田にある有名な学校に行ってきた。ある学会のシンポジウムが開催されていたからである。この学会本来は文科系の学会なのだが、昨今デジタル関連のテーマでの議論が多い。今回のタイトルは「データが拓くAI・IoT時代」。 キー…

オープン戦略・クローズド戦略(6/終)

ICT産業では、オープン戦略を中心にした企業が生き残ってきたという話をこれまでした。ただ本当に全部オープンというのはなかなか難しい。実質的には、オープン戦略とクローズド戦略のハイブリッド型になるはずだ。これは他の産業でも同じだろう。 例えば…

オープン戦略・クローズド戦略(5)

このころ「オープンシステム」というのが、コンピュータ業界の新しい潮流として捉えられてきた。言葉の定義としてある人が「システムの構成や仕様がオープンにされているだけではなく、仕様が決められる過程すらもオープンであること」と言っていたのを、今…

オープン戦略・クローズド戦略(4)

量のIBM対質のアップルという戦いは、前者にやや有利に見えた。新興企業であるアップルにはいろいろな落とし穴もあったし、全米にまたがる販路の確保は容易ではなかったろう。しかしIBM側にも問題が出てきた。前回業界の順位を、首位IBM、2位DE…

オープン戦略・クローズド戦略(3)

1976年にカリフォルニアで創業したアップル社は、1980年には株式を上場し順調に業績を伸ばしてきた。米国のコンピュータ市場は離合集散を繰り返しながら、首位IBM、2位DEC以下の形態に固まりつつあった。メインフレームと呼ばれる大型機ではIBMは…

オープン戦略・クローズド戦略(2)

これからの時代はコンピュータ産業が重要だと考えた通産省(現経産省)は、日本でもいくつかの企業を選んでコンピュータ開発をやらせた。その際、1社が撤退してもいいように複数社を組み合わせてグループにした。グループ内でのコンパチビリティを確保する…

オープン戦略・クローズド戦略(1)

"LINUX" というオペレーティングシステムがある。"UNIX" の一種であるが、これはフリーでオープンソースとして共同開発されたというエポックメーキングな登場をした。それまで、オペレーティングシステムは重要なソフトウェアであり、有償なのが当たり前だっ…

公共交通分野のオープンデータ(5/終)

データ活用については、データを持っている機関(シーズ)と欲しがっている機関(ニーズ)のマッチングが重要である。1対1で会話をして、うまく情報のやりとりが経済効果を含めて新しく成立する例は多くない。簡単に思いつきそうなものは、デジタル以前に…

公共交通分野のオープンデータ(4)

協議会という背景こそあれ、東京メトロが自社の情報をOpenにして自社の利用者へのサービスを向上するというモデルは分かりやすい。乗り換え情報が求められるというので複数事業者間でこれを共有するというのも、それほど違和感のある人はいないだろう。交通…