Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

弁護士センセイの制度改革

 21世紀になって、日本では2つの司法制度改革が進行した。ひとつは裁判員制度であり、もうひとつは法科大学院拡充などによる弁護士人口の増加である。今回は後者を取り上げたい。平成元年の時点で13,000人程度だった弁護士登録者は、今や40.000人程にもなり司法書士(約22,000人)の倍近くまで増えた。

 
 以前、日本の弁護士は米国の1割程度しかいないというのが常識だった。人口比やGDP比でも2~3倍なのだから、3~4割くらいならともかくこれは少なすぎるだろうという意見形成に役に立った「数値」である。ならばどうするか、法曹界への入り口を少し広げればいい、もちろんちゃんと教育しなくてはいけないから法科大学院などを拡充しようというわけ。
 
 僕が高校生で担当教官から進路指導を受けた時、ちらりと法学部のことを思った。しかし司法試験は文系最難関の試験だし、舌先三寸の弁論ならともかく膨大な判例等の暗記が必要だということで断念(というほど大げさではないが)した。現実に大学時代の友人(当然法学部)の中には、長く司法試験浪人を続けていた人もいて、苦労しているなと思ったものだ。その時代より少しはハードルが下がったのだろうが、いざ弁護士になってみるともっと大きな難関が彼らを待っていた。仕事がないのである。
 
 

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 消費者金融の過払い金問題があるうちは食いつなげた(未熟な)弁護士だちも、それが下火になってくると仕事に窮した。大手でもアディーレ法律事務所のように「誇大広告」で業務停止をくらうケースも出た。それくらい困っているようだ。これはまだステップなので、司法制度改革が失敗と断ずることはできないが、健全な法曹界の拡充に向け何が必要かを考える必要はあるだろう。弁護士ですというだけではダメで、xxができる弁護士ですと言えないといけないから、こういう人たちをどう育てるかだと思う。
 
 違う業界ですが、コンピューター・サイエンティストの世界も同じである。初期の頃はコンピュータがわかるだけで企業が雇ってくれたが、今はxxができるコンピューター・サイエンティスト、つまりダブルメジャーでないと重宝されなくなった。これからの社会を生き抜くキーワードは、ダブルメジャーだと思います。
 
<初出:2018.1>