Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

司法取引制度の導入

 日本の司法制度も、少しづつ欧米化(国際化?)しているようだ。裁判員裁判は米国の陪審員制度を参考にしながら、量刑まで市民感覚で決めるという点で一歩進んでいるのかもしれない。ただ導入9年を経て裁判員の辞退者が70%に迫るなど課題も見えてきている。昨今裁判が長期化する傾向があり、そんなに長く拘束されるのはたまらないという理由もあると思う。


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 また、自ら「死刑」を宣告することにためらいのある市民も多いだろう。一方、ある種の犯罪(一般市民の怒りを買いやすいもの)については、厳罰化の傾向もある。制度の見直しも必要だろうし、その定着にはまだ少し時間がかかるだろう。今月から、今度は「司法取引」も導入された。ミステリー本や映画によく「事件の中心人物を教えれば、お前の(従犯としての)罪は軽くしてやる」というシーンが出てくるが、刑期を軽くすることと事件の真相解明を天秤にかけた取引のことである。どのような犯罪が対象となるかというと、

 ・贈収賄、詐欺、恐喝
 ・覚せい剤、銃器
 ・脱税、談合、インサイダー取引
 ・粉飾決算、営業秘密漏えい 等

 暴力団からみや企業犯罪など組織的なものが(当たり前だが)中心である。どうもミステリーマニアとしては「交換殺人」などはどうなのかと考えてしまうのだが、それはいずれ弁護士さんにでも聞いてみよう。さて本家のアメリカでは、2016年の大統領選挙にロシアが関与したとされる疑惑の捜査で、かなり大型の司法取引が進んでいる。

https://www.dailysunny.com/2018/05/24/nynews0524-4/ 

 ロシア移民の「タクシーキング」フリードマン被告は、500万ドル以上の脱税や重窃盗で起訴されていて有罪になると25年も喰らいこむことになる。これを5年間の保護観察にしてやろうというのだから相当の「温情」。代わりにロシア疑惑の真実を証言し、トランプ大統領の個人弁護士コーエン氏に関する情報を暴露することを求められているという。

 司法取引先進国の米国ならではの。ダイナミックな裁判になりそうです。取引が得意と自称しているトランプ先生、この危機はどうされますかね?
 
<初出:2018.6>