Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

これだって「生物兵器」

 普通「生物兵器」(Bio)と言えば、天然痘ウィルスのような病原菌をバラ撒くイメージが強い。パンデミックを起こさせることも可能なので、大量破壊兵器として核兵器(Atomic)、化学兵器(Chemical)と並んでABC兵器とも言われる。しかし病原菌のような小さなものでなくても、生物は軍事用に使えるのだ。

 
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/05/post-10239.php
 
 この記事を読んで、相変わらず軍事大国はいろいろな生物の軍事利用をやめていないなと感じた。陸上・空中・水中でもドローン利用が現実味を帯びて来ているのに・・・である。記事はウクライナ軍が飼育していた軍用イルカが、クリミアのロシア併合でロシア軍所属になり、ウクライナへの愛国心からハンストをして死んだというものだが、これは信じがたい。飼育員が未熟だとか、ただ飼育環境が変わったから死んだのだろうと思う。

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 ロバを輸送用に使ったり、馬に乗って機動力を得たり、警備用に犬を使うのは誰でも理解できるだろうが、ゾウを弓兵のプラットフォームに使った例もあるし、鳩を通信用に使うことは古くからおこなわれていた。第二次大戦中ソ連軍は、エンジンをかけたトラクターの下でエサを貰う習慣をつけた犬に爆弾を抱かせてドイツ戦車に向かわせた。犬はエサが貰えると思って戦車の下に潜り込み、そこで自爆する。
 
 動物愛護団体が激怒するような話ではあるが、この記事のイルカたちも似たような使命をもっていたのだろうか?イルカは知能の高い動物で、良く訓練すれば偵察用には好適である。記事の写真のイルカ(これは米軍のもの)はカメラを取り付けていて、偵察用と思われる。
 
 SF小説の中には、題名は忘れてしまったが、殺人訓練を受けたイルカの話もあった。各国はイルカを「戦闘用ではない」と言っているので、まずは信じておこう。知的生物を訓練するには設備・費用と時間がかかり、その割には効果が出ないことも多いし、ドローンの研究開発に投資する方がずっと効率的と思うから。
 
<初出:2018.6>