平成の大合併の成果で、自治体の数は1,700あまりに減った。企業の場合でも同じだが、合併当初はポストの重複に悩むものだ。一時期、合併後の議員定数が人口に比べて膨れ上がってしまったり、高い方の報酬水準に合わせた結果議員歳費が増えてしまったりという混乱があった。それでも時間が解決したのだろう、そのような話は聞こえなくなり、トータルとして地方議員の「身を切る改革」(維新の会)は成ったというべきだろう。
ところがまた新しい問題が出てきた。地方議員のなり手がなく、議員定数割れが起きた自治体がいくつか出ている。地方議員といえど国政のミニ版である。地方議員から国政に出た人も多い。地盤・看板・鞄の継承など同じ様なものだと思っていたがそうではないらしい。「改革」の成果だろうが、地方議員程度では「政治屋」は開業できない、子供に世襲したいような美味しい商売ではなくなったと思われる。
そこで地方議員の報酬(含む年金)を引き上げる案なども出てきて、地方議員の確保に向けた議論が活発になっている。総務省の有識者会議は、
・多数の兼業議員(個々の報酬は少ない)
・少数の専門議員(定数を減らして個々の報酬を確保)
という2つのタイプを提示して地方自治体が選択できるようにすべきだと言っている。
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO28715110Y8A320C1EA1000/
しかし地方議会って何をするところなんだっけという原点に返れば、もっと別の見方も可能だろう。そもそも議会の役割は「立法」である。国会議員のセンセイが自分の選挙区に橋や道路を持ってくるというのは、本業ではない。(副業でもしてはいけない)
例えば各自治体の条例関係の機能だけを広域の機関に移してしまい、残った行政のチェック機能だけ担う組織として考えるなら「議会」はよほどスリム化できるだろう。「地方/地域の声」が届かなくなるとの危惧には、それは本来行政がすべきことと割り切ってみてはどうか?行政の人たちも、議会対応の仕事が減ればもっと住民に向き合えるはずですから。