大手町、丸の内、八重洲、霞ヶ関界隈では見かけないせいで、利用することに少ない「ゆで太郎」だが、なかなかこだわりのある立ち食いそばチェーンである。「挽きたて、打ちたて、茹でたて」の三たてをモットーにしていて、店内に製麺コーナーまである。より高価な「そじ坊」などではそういうコーナーもあるが、立ち食いチェーンでは珍しい。
三たてのせいだろうが、食券を買って受付に出してから、他のチェーンより長く待たされる。茹で置きを極力作らない方針だからである。もりそば、かけそばが320円と、「小諸そば」などよりは高め。それでも麺の量はやや多いという。標準的なメニューであるかきあげそば420円は、普通の値ごろ感だ。
珍しく五反田に出かけて帰りが昼時になった日、山手通りぞいで「ゆで太郎」を見つけて入ってみることにした。西五反田1丁目交差点周辺には手ごろなランチの店が多い。交差点の4角が、吉野家、ガスト、ベローチェとBook-off。1ブロック内には、タリーズ、ドトール、すき屋、CoCo壱番屋まである。
うれしいのは曜日毎に異なるワンコインランチのサービスがあること。この日のランチは、季節の丼として牡蠣とじの小丼をセットにしたもの、きっぱり500円なり。なかなか大きめの牡蠣が3つばかり、ほどよい火加減で卵とじされている。吸い物は薄味、そばつゆは辛めである。肝心のそばはかなり白く、更科に近い見た目。僕の好みよりは柔らかなゆで加減だが、確かに香りはいい。
<初出:2018.1>