Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

レッドオーシャンでの戦い(牛丼チェーン)

 牛丼御三家、すき家(約2,000店)、吉野家(約1,200店)、松屋(約1,000店)になか卯(約500店舗)を加えた牛丼戦争は、まさにレッドオーシャンの戦いとなっている。ここ数年各社とも店舗数は伸びていないし、業績としても伸び悩んでいるようだ。牛丼はそばチェーン店などでも提供されているのだが、また新たな参入者があった。

 
 回転すしチェーン「無添くら寿司」である。値段は370円、御三家を意識した価格である。くら寿司の店舗数は約400店。どうして参入したのかという問いに「くらコーポレーションの広報は、「ラーメン、カレーなどサイドメニューを提供してきたが、牛丼は悲願だった」と応えている。食の多様化が進んでいるとはいえ、僕は寿司店で別の炭水化物ものを食べようとは思わないのだが。
 
 4年前、有名なカリスマ経営者であった吉野家安部社長は、自らと同じアルバイトからの叩き上げである河村氏に社長のイスを譲った。そのおり安部氏は「牛丼店は平時の状況にない」と危機感をにじませ、関連企業である「はなまる」うどんチェーンを再建した河村氏の手腕に期待すると言った。うどん店も、そばチェーンほどの競合数はないとしてもレッドオーシャン市場である。一般のそばチェーンもうどんを出すし、実質的にその差は少ない。

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 「はなまる」うどんのメニューバリエーションは、大変多い。醤油たれだけでなく、胡麻たれも美味しい。冬が近づくと「あんかけ」メニューも出てくる。流れるようにセルフ式で注文から会計までが済み、忙しい時手軽にランチを済ませるには都合が良い。
 
 吉野家も、いろいろ新機軸を出している。少し豪華なメニューとしての「牛すき鍋膳」が好評なこともあって、「ご当地鍋」と銘うって地域毎にアレンジした鍋物を出し始めた。写真は「オレンジドリーム号」といって、牛丼の移動販売車である。日本中に3台しかないというから、非常なレアもの。現状では店舗改装中などの補完設備というが、おそらくはテストマーケティング車両なのだろう。
 
 レッドオーシャンなのに、さらに新規参入者がやってくる牛丼市場。そのパイオニアとして吉野家の挑戦が続いている。安部氏が当時43歳の河村氏に社長のイスを譲ったのは、挑戦し続けることがこの市場で生き残る道だと信じてのことだろう。いかに優れた経営者でも、年齢か慣れかで「守り」に入ることがある。そういう意味での社長交代だったと思う。
 
<初出:2016.11>