親父がお刺身で晩酌をすることが楽しみだったことから、子供のころから2きれ3きれのお刺身は食べさせてもらっていた。割合多かったのはカジキ、たまにマグロ、イカ、タコ。旬の時期にはカツオのタタキも食べた記憶がある。大学生になってコンパと称して呑みに行くようになり、ルイベというのも経験した。
サーモンはどう料理しても美味しい魚だが、当時は凍らせたものを薄切りにして「凍った刺身」として食べることが多かった。その理由は寄生虫(アニサキス)の問題があったから。アニサキスは胃に穿孔を作ることがあり、激しい腹痛をもたらす「アニサキス症」の原因になる。アニサキスは加熱や冷凍、あるいは酢じめで死ぬので、凍った刺身という料理法があるわけだ。その後、太平洋ではなく大西洋のサーモンにはアニサキスがほとんどいないことから、北大西洋から生のまま直送されるサーモンはお刺身で食べられるようになったわけ。
シメサバというのもそうだし、カツオも同じでタタキにすればアニサキスリスクが減るので、これらの料理法がポピュラーだった。しかしアニサキスリスクが低いものなら、やっぱりお刺身で食べたいのが日本人。今は生のカツオを冊で買ってきて、僕らもよく食べている。それが最近アニサキスリスクが高まってきて、スーパーマーケットは冷凍ものを並べるようになったという。
<初出:2018.5>