スイスはいいところだが、物価は高いと思う。会議の合間に、パティオで昼食をと思い売店で3点買った。
・手前のハム・チーズサンド(温めてくれた)
・左上のフルーツサンド
・右上のエビアン(330ml)
これで合計12フラン(約1,350円)。日本だったら、高級店のビジネスランチが食べられる。
聞いた話なので未確認だが、タマゴの値段は周辺国の3~4倍するという。それで良く暴動が起きないな、と聞いたら、
「スイスの資産は美しい山岳地帯だ。これは農業従事者の日々の努力が無ければ維持できない。彼らが労働に見合う所得を得るためには、その生産物が相応の価格で売られることが必要だ」
との回答。非常に教科書的ではあるが、一面の真実であろう。日本でもコメ市場開放論議の時に、似た議論が出てくる。いわく、田畑の保水力は防災にも役立つ、コメ農家は守るべきだ、ゆえにTPP反対、というわけ。
まあ、スイス政府が観光資源維持のために、物価統制(?)政策を採っていることは間違いなかろう。それでも、俗に「上に政策あれば、下に対策あり」ともいう。庶民は、休日にドイツやイタリアに出かけ、ガソリンを入れたり、食料品・消耗品を(免税で!)買い込んでくる。
スイス国境の町の(激安)スーパーでは、支払いはスイスフランでもできた。ドイツのスーパーチェーンにとってみれば「ありがたいお客様」である。インターネットにみられるように、情報が世界を駆け巡ることで国境や地域の壁が意味を持たなくなりつつある。パナマ文書でもわかるように(合法か違法かは別にして)お金も国境を越えていく。
残るのは「ヒト」と「モノ」だ。この2つも、以前に比べればずいぶん往来している。グローバル化の流れはとどめられないはずだし、とどめようとする機関・地域・国などは、長期的には衰退するだろう。
「内向き」の議論が台頭している世界情勢ではあるが、これは普通の人の生活にまでグローバル化が影響してくるようになった証拠ではないか。グローバル経済は「一番安ところで調達して、一番高く売れるところで売る」のが必然。世界で内外価格差があれば、それをなくすように動くはずだ。そのバロメータのひとつとして、スイスの物価を見てみたい。
<初出:2016.7>