Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

2つのフランクフルト

 Frankfult am Main は、僕たち夫婦のお気に入りの旅先になってきた。まず、空港から旧市街までの交通がよいこと。空港ビルの地下から近郊列車(Sバーン)に乗れば、20分くらいで中央駅から旧市街の各駅に到着する。青い日系航空会社の直行便が毎日2往復あることも有難い。往路は羽田を11;00過ぎに出て、16:00過ぎに着陸、チェックインにちょうど良い時間だ。復路はホテルをゆっくり出て、離陸が12:00過ぎ。翌朝6:00過ぎに羽田に着く。

          f:id:nicky-akira:20190428083544p:plain

 
 Frankfult am Main は、ヘッセン州の州都で人口70万人あまり。日本だと政令指定都市にもなれない規模だが、世界を代表する金融都市である。ところで、何で「am Main」なんて言葉がくっついているんだろうと思っていたら、この本に回答があった。
 
 実は、ドイツには「Frankfult」と名乗る都市がもうひとつあったのだ。それは Frankfult der Oder 。ポーランド国境に近いブランディング州の街で、人口6万人たらず。旧東ドイツに属していたからかもしれないが、僕らには馴染みのないところだ。本書によれば、fult とは浅瀬のことで、英語で言えば ford にあたる。要するに、川を橋や船に拠らず徒歩で渡れるところという意味だ。フランク人が川を渡るところというのが、Frankfult の語源なのだ。
 
 パリがセーヌ川の中州であるシテ島から始まったように、Frankfult am Main も、マイン川を渡れるところに集落ができ交易の拠点となって発展したものだろう。今回は、マイン川がライン川に合流するところの近くまで行ってみたが、そこで面白い渡し船を見た。

    f:id:nicky-akira:20190428083644p:plain

 
 最初は桟橋かなと思っていたものが急に動き出し、こちらの岸に向かってくる。船首の乗下船用の「タラップ」を上げることもなく、ゆっくり方向を変える。やがてこちらの岸にいた白鳥たちを追い払って、乗りあげるように接岸した。自転車を押した人や買い物かごを下げた人たちが乗り降りし、いくらかは分からないが小銭を払っている。
 
 画像では小川に見えるかもしれないが、実際に川幅は広くない。利根川や淀川などとは比較にならない。それでもここは、大型の輸送船やクルーズ船も行きかうマイン川で、この辺りは都市の喧騒とは無縁な、のんびりした河岸でした。
 
<初出:2017.11>