Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

欧州との個人情報の流通(3)

 日欧間の個人情報移転に関して、片務的だが「十分性認定」を取りに行こうという意見と、双方向性(レシプロシティ)のあるものを目指すべきだという意見が日本の中で対立した。これに加えて、政府担当部署の違いもあって整理が必要になった。

 
 ・日欧EPAを含む通商交渉 日本側:経済産業省 欧州側:DG-Connect
 ・個人情報越境移転交渉 日本側:個人情報保護委員会 欧州側:DG-Justice
 
 経済産業省に「十分性認定」を取ってくれ、という意見が寄せられたようで、同省は通商交渉に加えて「十分性認定」の検討を始めた。一方個人情報保護委員会や外務省は、レシプロシティのある協定成立を目指していた。この2つの動きが昨年末から顕著になってきて多少の混乱が見られた。個別に欧州当局を話をするものだから、欧州当局が「どっちが言っていることがただしいのか」と怒ったという話も聞いた。
 

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 そこで日本政府では各省の局長級の調整会議を設定して、上記の整理をし決着を見たという。EPAの中で国境を越えるデータの確保は議論されるが、ここには個人情報は入らない。個人情報については、個人情報保護委員会とDG-Justice(司法総局)の交渉に委ねられる。
 
 1月に欧州委員会は「十分性認定について、日本が優先国であること、双方向の対話であること」を政策文書として公表した。ここで、欧州から日本へのデータ越境は「十分性認定」という形をとるが、逆方向(日本⇒欧州)も何らかの法的措置で担保されるとの方向性が見えた。そして先ごろ個人情報保護委員会が、個人情報保護法第24条「外国指定の考え方」について、委員会規則を定める決定を下した。
 
 
<続く>