Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

プラナカン文化

 シンガポールの中心部、地下鉄シティホール駅の近くに「プラナカン博物館」というものがある。プラナカンという人たちがどこから来てどういう暮らしをしていたのか、「衣食住」や「冠婚葬祭」をいろいろな展示物で伝えている。プラナカンとは、マレー半島やジャワ島に住み着いた中華系の民族を指すのが一般的である。


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 何世紀にもわたってかの地域で暮らしていたにもかかわらず、マレー民族など現地の人たちとの混血は進まず、独自の文化を繁栄させたとされる。中華系の人たちは血縁の結束も固いし、ビジネス等にも秀でている。財を蓄えるとともに、独自だが高度な生活文化を育てていった。その証を「プラナカン博物館」で見ることができる。
 
 博物館だけでなく、プラナカン文化は街中にも見られる。以前、パステルカラーの美しい建物が並ぶ「Joo Chiat Road」の模様を紹介した。今回オーチャードロードを歩いてみて、サマーセット駅の近くにも少しだけプラナカン風の建物が残っているのを見つけた。
 
 オーチャードロードは、地下鉄3駅(オーチャード・サマーセット・ドービーゴート)にわたる繁華街だが、その真ん中に「Peranakan Place」という表記があった。背景になっているのはいかにも近代的な、ショッピングモールの建物である。その対比が面白いなと思って「Peranakan Place」の裏に回ってみると、それらしい路地が。

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 最先端のショッピングビルが立ち並び、多くの観光客が行きかうオーチャードロードにも古い町並みが残っていたことは興味深い。シンガポールは東南アジアの(ひょっとするとアジアの)情報結節点であり、グローバルビジネスの中心地である。有識者は、香港・シンガポールを含めて「拡大中華圏」という経済エリアと捉えるべきと主張している。
 
 シンガポール経済の中核を成すのは確かに中華系民族ではあるが、彼らは何世紀も前に故国を離れており文化的には中国本土とは違う民族と思ってもいいだろう。そういう思いをしながら、シンガポールで中華料理を食べました。
 
<初出:2017.3>