スマート・シティという言葉は、いつごろからあったのだろうか?そして、いつになったら本物のスマート・シティがあらわれるのだろうか?もう10年近く、スマート・シティの実証実験をしているが、多くは電力需給をみて最適化するスマート・パワー・グリッドのような局地的技術実証に留まっている。
その電力のスマート化だって、容易なことではなかった。電力中央研究所の幹部から10年前に聞いた話だが、発電部門に限っても火力・水力・原子力の3部門で会話を成り立たせるのに苦労したとのこと。長年独自に運営してきた部署が、突然会話しようとすれば単語も違えば言葉の意味合いも違うからだ。
ましてやこれが同業他社、異業種となれば、意思疎通の困難さは計り知れない。大げさに言えば拠って立つ伝統・文化が違うせいである。その結果、構築してきたデータベース(必ずしもデジタル化されたものだけではない)が違って、情報共有や交換ができないのだ。
BIM(Building Information Modeling)やCIM(Construction Information Modeling)といった共通言語はかなり以前からあって、これで設計図等を書けば詳細なデジタル情報が共有・利用できる。例えば床材の材質や、窓が開く角度まで記述できるので、火災の延焼速度を見たレスキュー判断や引っ越し荷物を入れられるかの事前検討も(現地実査なしで)できる。
日本では、一部日建設計がてがけた建物がこういう言語で記述されているに留まっているようです。シンガポールがどういうレベルでのデジタル化をしているか詳細は知りませんが、そちらに向けた一歩を踏み出しているのは確かですね。
<初出:2017,10>