Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

アラブ・ストリート

 シンガポールは、人種・宗教・民族・文化の「ごった煮」のような国だ。その象徴とも言うべき3つのエリアがある。アラブ・ストリート、チャイナ・タウン、リトル・インディアである。アラブ・ストリートは地下鉄東西線ブギス駅の南東に広がるエリアで、少し高いところから見るとそこだけが低層(2階建てくらい)で、茶色のような独特の色合いをしているので区別しやすい。
 
 ブギス駅周辺は、100年前(日本は大正時代)日本人街があったそうだが、20年ほど前にはホモ街(タイでみられるような「オカマ」バーのようなものか?)として知られたらしい。今は大きなショッピングビルが立ち並び、猥雑な風情は少ない。

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 ただ、南東の一角だけはイスラムの匂いがする。中心となるのは「サルタン・モスク」。どうもこれよりも高い建物は立てない規制なりがあるようだ。それにしても、金色に輝いたドームをいただき、堂々たるたたずまい。
 
 付近には観光地としての土産物屋や、アラブの商材を売る店が一杯ある。ハンバーガー店やコンビニもあったけど、宗教上の禁忌のものは売ってないだろうね。雑貨や布地などは、本場の物らしい。そして、時分時になると、それらしい音楽が流れてくる。一日6回あるというお祈りの時間に合わせて、しかるべき音楽を流している。
 
 今年、ジュネーブの空港ラウンジでそのお祈りの場面に遭遇した。奥の一角に誰もいなかったので、真ん中の席を占領してのうのうと紅茶を飲んでいたら、4隅に人がやってきてマットを敷いてお祈りを始めたのだ。
 
 なんとなく包囲されたような気分になって、紅茶の味がわからなくなった。クアラルンプールの空港では、ちゃんとお祈り部屋があり(しかも男女別に!)イスラム教徒への配慮があったが、さすがにジュネーブではそういうものはないらしい。今回もとりあえずモスクの威容を見て、荘厳な気分になって、早々に退散しました。暑かったしね。
 
<初出:2016.9>