Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

キャッシュアウト

 またひとつ、Automated Teller Machine が淘汰される要因が加わった。来年4月から大手スーパー「イオン」がレジでのキャッシュアウトサービスを始めると発表したのだ。

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 例えば、カードで買い物の代金を支払う際5,000円の支払いに対してカードで10,000円を支払って、残金5,000円の現金を受け取るようなことを、キャッシュアウトという。欧米ではよくある話で、ちょっと現金が足らないときには便利なサービスだ。
 
 もう30年近く前になるが、デビットカードが日本でできるようになった時、普及のカギはこれだと思っていた。もちろん加盟店がカード運営主体に払う手数料がクレジットカードよりずっと安いことも条件だったが、利用者の利便性を考えるとキャッシュアウトができることは大きなインセンティブになるはずだった。
 
 ところがそのころは、「デビットカードはOKです。でもキャッシュアウトはしませんよね」と金融当局から銀行等にクギを刺す発言があったと聞いて、がっかりした記憶がある。銀行としても、自前のATMで現金を下ろしてもらった方が、時間外手数料や他行引き落とし手数料が入るので、キャッシュアウトは好ましくない。それをやろうとする事業者には、銀行業界がいい顔をしないのは当然である。
 
 しかし、ついにそのカベも崩れたようだ。最初は「イオン」が強引に既成事実を積み上げて規制突破を図ったのかと思ったが、規制そのものは今年すでに緩和されていて、事業者が1年遅れでサービス開始をするということが下記の記事でわかった。
 
 
 これによって「イオン」は場内設置のATMを撤去できる。またキャッシュアウトが多くなってくれば、売上金回収(これも手間がかかる)量が減る効果も期待できる。昔あきらめたことが今になって出来るようになるのはうれしいのですが、ちょっと時間がかかり過ぎましたね。
 
<初出:2017.12>