Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

Automated Teller Machine の行方(2)

 1970年代には、多くの金融機関でATMの設置が進んだ。その結果、銀行では利用者を3区分して考えるようになった。

 ・90%の利用者はATMで対応する。いわばルーチンのお客さん、

  手間をかけるべきでない相手。
 ・9%の利用者は窓口へ。公共料金支払いなど単純事務客もあるが、

  口座開設、小切手扱いなど上記よりは重要な相手。
 ・1%の利用者は、まっすぐ支店長室へ。最重要の大口利用者が多く、
  この人たちを抑えておけば事業の根幹は揺るがない。

 言葉を選ばずに言うと、銀行にとってATM利用者というのは「ゴミ客」なのである。それでも「利用者の利便性を最大限に考える」ゆえに、ATMの性能向上などには積極的だった。銀行は1円の間違いも許されない企業風土だから、システムの精度はもちろん稼働率にも敏感である。銀行だけでなく、信金・信組や証券・保険といった他の金融機関もこぞってATMを導入した。

 僕が小田急線沿線に住んでいたころ、賃貸住宅の家賃を払っていたのは近くの農協。住宅のオーナーが農協関連だったので他の金融機関から払うことができなかった。土曜日に払いにいきATMで払おうとした。すると奥から行員が出てきて「窓口でどうぞ」という。確かに窓口にも人はならんでいない。せっかくATMを入れても省力化になっていないよな、と思いつつ窓口で支払いを済ませた。

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 後日業界に詳しい人から話しを聞いたのだが、農協のATMなどは実質ほとんど使われないそうだ。むしろその中に入れる現金がもったいないので、ただ置いてあるだけのこともあるという。そんなものなんで高い(当時は高級機は1,000万円くらいした)カネ払っておくのだろうかと聞くと、「あれはコマイヌみたいなものだ。神社にはコマイヌが要るだろう。ここは金融機関ですよと見せるためにおいてあるのさ」との答え。

<続く>