ちょっとした仕事で大阪へ行ってきた。正直、梅雨明けしたこの時期に行きたいところではない。それでも、大阪在住の友人が夕食を誘ってくれたのはうれしかった。「では、しゃれたワインハウスではなくて、大阪コテコテでどないでっか?」と言われて、「う、うん」とうなづいてしまった。ではコテコテとは何か。示された選択肢は3つ。
(1) 焼肉
(2) お好み焼き
(3) 串かつ
焼肉なら、新大久保でも御徒町でも食べられる。お好み焼きはビールを飲んで食べるには、少し胃にもたれる。串揚げは何度も食べているが、大阪の本場コテコテは経験がない。陽が落ちて、なんとか過ごせる程度に気温が落ちてきた。友人は、有名なチェーン店のオリジナル店舗に案内してくれた。場所は新世界、通天閣の近くだ。
間口は3~4m、くの字型のカウンターだけで、10人は座れないだろう。奥行だって2mくらい。厨房に4人も入ればいっぱいいっぱい。倉庫は2階だということだが、階段ではなくハシゴで上り下りしている。
うまいこと端の席を2人で占めることができた。大きく何か所にも「ソースの二度付け厳禁」と書いてある。目の前に、ソースをなみなみと入れた深めのバットがある。キャベツは食べ放題のようだが、キャベツと串は箸を使ってはいけない。
ビールを頼んでメニューを見る。串かつのほか、タケノコ・ナス・ジャガイモ・玉ねぎ・しいたけなど野菜類。エビ・イカ・タコ・キス・ハモ・シシャモなどの魚介類。鳥のつくねやウズラ卵もあった。中心は105円/本の価格。
数本頼んで、揚がるのを待つ間にドテ煮をつまむ。これだけは箸を使って食べていい。あまり塩辛くなく、ビールに合う。そのうちに、メインディッシュ完成。
1本1本は、そんなに重くない。コロモが薄いのがたくさん食べられる理由だろう。確かにおいしい。命綱のソースかと思えば、ハモなどは塩で食べるといいという。実際、時期の魚であるハモは塩がうまい。
会計は、串の数を数えるようだ。その昔、串をポトリと足元に落として、会計をゴマかそうとする輩がいたようだが、店の方も重々承知していて、限度を越さない限りは摘発はしなかったらしい。まあ、そんなもので幸せに気分になれるならよろしいでしょう、また来てくれるから、ということだろう。今回は、大阪のコテコテというのを満喫して帰ってきました。
<初出:2016.7>