Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

Automated Teller Machine の行方(3)

 登場したころ1,000万円ほどしていたATMの導入コストも、他のICT機器ほどではないが徐々に下がってきて、現在は200~300万円くらいらしい。価格を維持したいメーカー側としては、高機能器をいろいろ考えるのだが、膨大な札びらを高速で1枚毎に仕分け、真贋鑑別をし、しかるべきところに搬送するという機能以上に何ができるかというと、相当むずかしい。

 初期の頃に「還流式」というものが開発され、預け入れたお札を払い出しにも廻せるようになったのが唯一の改良だったかもしれない。それまでは預け入れられたお札はストックし、払い出しは用意したお札を使っていた。1台に見えても、預け入れ機と払い出し機は別だったのだ。しかしこの方式だと、人手でお札を回収したり整理して装填しなくてはならない。その作業中は「お取り扱い中止」になるわけだ。

 そこで稼働率を上げ人手を省力化するために、預け入れたお札を機械の中で還流させ、払い出しにもつかえるようにしたのである。これは日本オリジナルの機構であり、独特のATM文化を作ることに成功した。50万円預け入れる人が1人いれば、5万円引き出す人10人に対応できる。このパターンが続くなら、お札の回収や装填作業は不要になる。合理化を好む金融機関は、こぞって還流式ATMを導入した。

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 ところで金融機関としてATMの利用がどのくらい業績に反映するかというと、分かりやすいのは「他行引き落としや時間外利用の手数料」である。普通100円+消費税分利用者から徴収するが、銀行間でシステムの情報交換をしなくてはいけないので丸もうけにはならないとしても、フィービジネスにはなる。これを含めて、毎日の利用者数がATMのコストパフォーマンスを決める。

 (1)で紹介した記事によると、昨今のコンビニATMの利用者数は100件/日を下回っていて、漸減傾向だという。昔銀行関係者に聞いたところによると、50件を割ったら破棄すべし、100件ならぎりぎり維持、200件なら合格で、300件なら優等生との評価だった。大きな駅の前にある店舗、地下街の入り口の店舗などはこの優等生に相当するようだ。

<続く>