Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

長期政権ゆえの株高か、逆か?

 高橋洋一教授は、元財務官僚。東大の理学部数学科と経済学部経済学科両方の卒業生で、理系文系両方のエクスパティーズを持つダブルメジャー人材の草分けのような人だ。小泉内閣で竹中経済財政担当大臣の補佐官を努めた後、第一次安倍内閣内閣参事官を最後に退官している。

 
 その後東洋大教授に就任、「官僚国家日本を変える元官僚の会」の発起人になり、「さらば財務省!」という著作で「山本七平賞」を受賞している。非常にユニークな論客として、この人は堺屋太一氏の後継者かと思っていたのだが、窃盗容疑で書類送検される事件を起こして東洋大学を追われ、現在は嘉悦大学教授である。
 
 補佐官を務めた竹中平蔵教授は慶應から東洋大に移っており、その師匠格の故加藤寛氏は慶應から嘉悦大学の学長をされている。敵の多い高橋教授の容疑がトラップによるものだったかどうかは別にして、加藤・竹中ラインのひとりとして現在も評論活動をされているのは心強い。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/60055 

 その高橋教授が、安倍長期政権の行方についてコメントしたのがこの記事。すでに在職期間が歴代4位になっているわけだが、6月には伊藤博文、8月には佐藤栄作を抜いて2位に上がる計算とある。統一地方選(4月)、参議院選(7月)を勝ち抜いて、消費税上げ(10月)を乗り切れば12月には桂太郎を抜いて歴代1位の在職日数になる。

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 経済学者らしく2つの分かりやすいグラフが示されていて、ひとつは政権の在任月数と株価上昇率の関係、もうひとつは株価と半年後の就業者数の関係でいずれも高い相関があるという。第二次安倍政権スタートから現在まで、株価はほぼ倍になっているし就業者数も6,300万人から6,700万人に増えている。経済は合格点なので、長期政権だということ。ただこれは逆も正しくて、長期政権で安定して一貫した政策が打てるから経済(民間)も安心して成長できるということもある。

 長すぎることによる弊害なのか、政権そのものに緊張感が欠けていると指摘する人もいる。しかし毎年総理が変わっているようでは、民間はもちろん外交相手の国も途惑ってしまう。野党の追及もいまいちピント外れのような気もするから、政権交代というよりは自民党内のポスト安倍競争だろうね。もう各地の地方選挙で「保守分裂」が起きている。消費税上げ後の政権を誰が担ってくれるか、できればこちらも長期政権でお願いしたいです。
 
<初出:2019.3>