公明党というのは不思議な政党だ。「平和の党」だったはずなのに、今回の「いずもの空母化」をはじめとする安倍政権の右寄り(?)な姿勢に同調し続けている。一方消費増税にあたっては、業界に大混乱を巻き起こしている「軽減税率」を強硬に主張、我が党の成果だと強調している。
憲法に「政教分離」がうたわれているにも関わらず、ほぼ「創価学会=公明党」だと誰もが思っていながら与党として存続し続けているという事実もある。これは小選挙区制のなせる業としか言いようがない。衆議院議員選挙の1選挙区では、当選者はひとりだけ。その選挙区に数万人オーダーの確定票を持つことは、この党の存在感を大きくしている。
永田町周辺の識者に聞くと、選挙が同党の最大の強みであると同時に弱みでもあると言う。党の組織が選挙区別にあるのはもちろんだが、その数万人を一人の支部長が直接ガバナンスできるわけではない。会社の本部・部・課・係組織のような、ピラミッド構造をしているらしい。選挙となるとどの組織はどの選挙で誰に投票するのかをきちんと決め、それをピラミッドの下の方に下ろしてゆく。
例えば選挙区は誰に、比例はどの政党に・・・といった具合。これは結構大変な作業である。だから立て続けに大きな選挙があったり、ましてや同日選挙などやられたら現場は混乱してしまう。自民党がやりたがり勝算もあるのに、公明党が「衆参同日選挙」を嫌う理由はここにある。
もとは「大阪都構想に関する住民投票」の実施で、公明党ともめたのが始まりらしい。今年は参議院議員選挙もあるし、選挙を減らしたい公明党は住民投票を渋ったようだ。そこで大阪維新のこのお二人、公明党の一番いやなことである同じ日に複数の選挙をやってやろうというわけだ。
<初出:2019.1>