トルコリラの下落が止まらない。エルドアン大統領は「リラは大丈夫だ、国民は死蔵している米ドルなどを銀行でリラに替えるように」演説したと言うが、これ自体が通貨危機をあおることになるだろう。しばらく前から、エルドアン大統領の強権的な政治手法、疑念を抱かせる選挙、クルド人を始めとする国内勢力への弾圧があって、リラ人気は落ちてきている。
http://www.afpbb.com/articles/-/3185735
それに加えて、トランプ先生のもう一つの「火遊び」で、トルコからの鉄鋼・アルミの関税を2倍にするということになり、これがリラ安に拍車をかけた。これでは投資家がリラを買い支えるなどということは、あり得ない。もちろんこのような策は両刃の剣で、自由貿易を前提にしている米国経済にも悪影響はある。現にニューヨーク市場はこのニュースで大きく下げた。
トランプ先生の貿易戦争は、中国元なども含めて新興国の通貨安を招いている。このままだと、かつてアジアの新興国がデフォルトを連発した経済危機の再現になるかもしれない。「デフレ脱却」を掲げて円安誘導をしてきた日本政府&日銀の努力も、水の泡になるだろう。
ヘッジファンドの仕掛けは、それ自身いいことではないのですが経済活動の一環である。ある意味仕方ないこととも言えよう。しかし今回の騒動の結果、経済危機を招くことになったらこれはトランプ先生による「人災」。そのような人を選んでしまったこと、米国有権者は反省してほしいのですが。
<初出:2018.8>