Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

空母戦闘団の実戦能力

 いろいろな意味で米中対立は深まっている。トランプ先生の中国に対する「怒り」はもっぱら貿易赤字に対してなのだろうが、これに乗じて伸長著しい中国の経済や国際政治力、軍事力を封じ込めてしまおうとする勢力が動いているようにも思う。

 
 中でも軍事力、中国の海洋進出の背骨になるのが「空母機動部隊」である。6隻の正規空母真珠湾を襲ってから3/4世紀、洋上を支配してきたのは航空母艦を中心にした機動部隊だった。僕の感覚ではそろそろ空母の時代も終わるように思うのだが、習大人は飽くことなく「空母機動部隊」の強化に努めている。
 
 ウクライナの中古(というより廃艦)を購入して整備した「遼寧」を中心に機動部隊のようなものを作って、訓練に励んでいる。その場所はと言うと、最近反大陸政権が発足した台湾近海が多い。そこでシンクタンク「USA笹川」のデニス・ブレア元提督が、台湾に「遼寧」への模擬攻撃を仕掛けろと挑発している。

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 この記事にあるように、中国「空母機動部隊」の実力を測ろうと言うのがその狙いだと思う。恰好だけは真似ることができても、本当に役に立つかどうかはやってみないとわからないのが軍事の世界。独ソ戦を扱ったある作戦級ゲームではソ連軍の師団は戦力がわからないまま配備される。ドイツ軍が攻撃をかけてきて初めてコマを裏返すと戦力値がかいてあるわけ。これをアントラインドシステムといって、意外な部隊が善戦したり戦力を集めた要衝があっけなく陥落したりする。
 
 ブレア提督のご提案も理解できるのですが、模擬攻撃自体でも「遼寧」部隊の訓練になってしまうのではないかと懸念される。そっとしておいて自己満足に浸らせておく方がいいと思うのだが・・・。もちろん、模擬攻撃が火をつけて戦火を招くのはもっと困りますよ。
 
<初出:2018.9>