Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

貿易戦争に勝者なし

 世界経済はWTO体制で発展してきた。自由貿易のルールは、単に経済発展だけでなく国際平和にも貢献してきた。ブロック経済は過去に何度も国家間の紛争を引き起こしてきたし、日本も20世紀には国を誤る事態に直面した。自由貿易は摩擦を生むこともあるが、相互に経済が絡み合うことで主要国は戦争という最後の手段を使いづらくなった。

 
 米ソ冷戦が終了し、自由貿易社会に東欧諸国、旧ソ連圏の国が入ってきた。中国、インド等の(人口の意味での)大国も加わり、新興国も増えて世界貿易は増加の一途をたどっている。このプロセスにおいて、関税をはじめとする諸般のハードルは下がってきた。どこの国の政府も、官僚機構は税金を下げることには抵抗を示す。政治家が人気取りで減税策を打ち出しても、官僚機構はそれを受け入れないものだが、こと関税を下げることだけは容認する傾向にある。それは関税を下げて貿易が増し、産業が振興して他の収税が増えるからだ。

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 ところが先日自由貿易の旗手たるべき米国のトランプ大統領が鉄鋼、アルミに追加関税をかけると発表し「貿易戦争はいいことだし、楽勝」とうそぶいている。これに対して欧州委員会も反撃、報復措置をとるとした。これがエスカレートすると、国際経済基盤が崩れかねないと危惧する。
 
 
 トランプ先生に申し上げたいのですが、貿易戦争に勝者はいないということを・・・。
 
<初出:2018.3>