Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

オリンピックの政治利用

 「平昌オリンピックは、平壌オリンピックになってしまった」という記事が出た。いつ戦火が開かれるかわからない緊張感の中、その張本人の北朝鮮が韓国開催のオリンピックに出場することになったのは賛否両論あるだろう。南北統一旗を持って両国が一緒に入場行進をするというのも、百歩譲っていいとしよう。しかしアイスホッケーチームを今から合同チームにするというのは行きすぎだと思う。

http://www.huffingtonpost.jp/2018/01/20/north-korean-cheering_a_23338981/

 まず1チーム23人と決まっている選手登録上限を超えたチーム編成になるかもしれないが、これはいかに主催国といえど横車というもの。すでにいくつかの国が選手数上限を守るよう求めている。また合同練習の期間はほとんどとれないので、チームプレーが要求される選手たちに負担が掛かり過ぎないか心配だ。今に至っての合同チーム編成は、決して戦力強化につながらないだろう。これについて文大統領は、「戦力強化かどうかは関係ない、合同チームで戦うという事に歴史的な意味がある」と言っている。

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 韓国内でも7割の人が合同チームには反対しているという。地元韓国選手の出場機会が減ったり、戦力的に大丈夫か心配しているのだろう。文大統領の発言は、まさにオリンピックの政治利用そのものである。かつて表彰台で人種差別に抗議した選手を罰したり、応援旗に政治的意図があったというので問題にしたIOCなのに、この問題には目をつむるどころか助長しているような印象も受ける。

 まあソウルオリンピックを妨害する意図で飛行機を落とすようなことをした国が、今度は宥和姿勢で競技に参加するというのは悪いことではない。しかし全般的な印象として米軍などからの攻撃をしのぐための一時的な偽装であるならば、問題はより深刻になるだけのことでしょう。

 

<初出:2018.1>