ノーベル賞がちらついたのか、歴史的な米朝首脳会談は僕たちから見れば拙速の極みだった。単なる政治ショーで終わり、具体的な曙光が見えたとは言いづらい。それでも何かが動き出すきっかけになることは、間違いはない。トランプ先生は「朝鮮戦争の終結」を成し遂げて、ノーベル賞を貰いたいのだろうが、米朝だけではこの戦争は終えられない。中国というもうひとつの当事国がそこにはいなかったからだ。
その中国と今度は「貿易戦争」の火ぶたを切ってしまう米国に、まともな政策はあるのだろうかと暗澹たる気分になった。さて、まだまだ幾多の障害のある朝鮮戦争終戦への道だが、北朝鮮の軍人がそれを望んでいないとの記事が出た。
陸軍100万、特殊部隊10万というのは、世界でも有数の規模である。実際は旧式兵器ばかりでどれだけの戦力かは不明だが、ナポレオンの言葉「軍隊とは胃袋だ」を借りるまでもなく、彼らをたべさせないといけないことは確かだ。
物理的に食べさせるだけではなく、将来的に規模を維持したり個々人のキャリアパスを見せることも必要だ。しかし北朝鮮の経済を疲弊させている大きな要因は、その軍事費である。将来的に軍縮となれば、将兵のリストラをしなくてはいけない。以前「核ミサイル」を開発した後、かの国の指導者は軍縮を始めるだろうと予測した。
核ミサイル完成と、米朝合意はどちらも結果は似ている。通常兵力の軍縮に踏み込んだ金正恩体制はもつのだろうか。もしそれが出来れば彼は「名君」だし、できなければ命が危うい。内乱から守ってくれるほど、トランプ先生の「体制保証」はきめ細かくないでしょうから。
<初出:2018.6>