Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

駐韓大使の一時帰国

 今日、駐韓大使と釜山総領事が日本に帰国する。一時帰国ということで、召還ではない。召還となれば国交断絶の一歩手前ほどの危機的状況になるところだ。両国間のミゾとなっている慰安婦問題を象徴する「少女像」が、ソウル大使館前の物が撤去されず、釜山の総領事館前にも新たに設置されたことに対する措置である。

 
 これについては、日本政府の迅速かつ適切な手段だったと賛意を表したい。とかく弱腰だとか軸がないなどと批判される日本の外務省だが、今回は立派にスジを通した。1年と少し前「両国間で最終的・不可逆的に解決する」とした合意が成され、その条件として日本側は10億円を基金に拠出した。すでに何人かの元慰安婦と言われる女性たちには、基金からの支給も始まっている。
 
 上記2体の「少女像」についてはこの合意に背くものであり、韓国政府は早急にこれらを撤去する国際的な義務を負っている。ただ、韓国側の事情も分からないではない。
 
・朴大統領が職務停止中で、政府機能が著しく低下、何かを決断することは難しい。
・ポスト朴の権力闘争が激化して、どの陣営も世論に逆らうような言動はできない。
・世論はと言えば、おおよそ6割の市民が上記合意を破棄すべきだと考えている。
 
 しかし冷静に考えると、現状の韓国は経済的に厳しい環境にある。中国からの「爆買い」客は減少、海運会社の倒産など財閥系企業すらも苦境にある。一般庶民に経済的恩恵が行き渡るはずもない。また国境の北側には「ICBM作っちゃった~」とおっしゃる方がおられる。

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 政治家が動けないならば、経済界が声をあげるべき時ではないかと思う。仮に安倍政権が東京裁判や原爆被害補償などでトランプ政権と厳しく対立、米国大使が一時帰国するようなことになったら、経団連経済同友会・日本商工会などは官邸に日参したりメディアに訴えたりして事態打開を図るはずだ。
 
 一時帰国なのでいずれは大使・総領事は韓国に戻るだろう。李大統領末期に彼が竹島に上陸したことに対する抗議の一時帰国は12日間だった。12日で「少女像」が撤去される見通しは全くないが、そんなに長く「一時帰国」にはならないと思う。
 
 しかし本当の韓国経済へのダメージは、同時にとられた「日韓通貨スワップ協定交渉の中断」にあると思う。中国が景気減速したり米国のドル還流政策が動き出したりすると、新興国からカネが逃げていく。韓国が再びデフォルトになる可能性を否定できない。それに対する保険のひとつである「通貨スワップ協定」は、速やかに締結すべきもののはず。韓国の経済界は、冷静になって今回の騒動に終止符を打つ行動に出てほしいと思います。
 
<初出:2017.1>