ロシアによる米国大統領選挙への介入疑惑も、まだ決着していない。以前あまりのロシア寄り発言の多さに僕は、トランプ先生はロシアのスパイではないかとさえ疑っていた。しかしその後、シリア問題などを巡って米ロ関係は悪化、トランプ先生のロシアより発言も見られなくなった。何しろ「ジャーナリストの寿命が一番短い国」というのが、強権プーチン施政下のロシアである。昨日はプーチン政権がスターリン時代への回帰を強めていることに危機感を持ってコメントした。だから、ロシアの国際的孤立はやむを得ないことと思っていた。
しかし先日ボルトン補佐官がプーチン大統領に会い米ロ首脳会談が行われることになるなど、米ロの（というよりトランプ＆プーチンの）蜜月時代が戻ってくる気配が見えた。こうなると、先のＧ７でトランプ先生が「ロシアをＧ７に加えるべき」と発言したことは冗談でなかったことになる。
クリミア問題で対立し、ひょっとするとバルト三国などへの侵攻もあるかもしれないと警戒を強めている欧州各国にとって、Ｇ８などあり得ないことだ。フランスやスゥエーデンなどでは、徴兵制復活の議論が始まっているくらいなのだから。
うがって考えれば、北朝鮮の一件は落着対中国貿易戦争にシフトしつつある米国の中国包囲網に、ロシアを加えようということかもしれない。ロシアにとっても長い国境線を接する中国は警戒すべき相手である。ただ、Ｇ８にトランプ先生がこだわり過ぎると、来年のフランスでは米国抜きのＧ６になってしまうかもしれませんよ。
＜初出：2018.7＞
