Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

政権交代可能な政治体制

 いわゆる55年体制というのは、実質的に自由民主党社会党の「連立政権」だった。社会党の党勢が拡大した時期でも、政権交代に至る可能性はなかったと思う。政権政党への批判の受け皿になっていたのが野党なのだが、野党側には政権奪取の意思は無かった。

 
 小選挙区制を導入して2大政党制を目指した結果、一時期民主党が政権を取ったが結果は惨憺たるもので終わった。その後は野党は自公連立政権に対抗できる勢力となりようがなかった。一時期「小池旋風」が吹いて、その可能性を見た人もいたが「大山鳴動、ネズミ一匹」だった。
 
 今なぜこのテーマを考えたかというと、自民党の総裁選挙の最中だから。昔ある政治評論家は「日本で米国の大統領選挙に近いものと言えば、自民党総裁選だろう」と言っていたのを思い出したからだ。予備選含めてあしかけ2年もかけて大統領を選ぶ制度と、2大政党制はほぼ一体のもの。政権交代が可能で、実績もあるスキームである。

    f:id:nicky-akira:20190603071630p:plain

 では戦後日本の政治体制で「交代」がなかったかというと、実質的にはあったのだ。それは自民党内の派閥争いから総裁選に至る道であって、米国の大統領選挙キャンペーンのような膨大な費用をかける必要がないだけ合理的だとも思われる。
 
 そういう意味で今回の自民党総裁選がイマイチ盛り上がらないのは、日本政治の危機なのかもしれない。首相の外遊日程などを理由に公開討論会や地方の演説会が十分出来ないというのは、石破候補の泣き言と言う人もいる。しかし党員でない日本国民も反対の声を上げるべきかもしれませんね。
 
<初出:2018.9>