Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

首脳の任期

 韓国の朴大統領は任期1.5年を残しているが、任期延長の憲法改正に意欲を見せている。現在の規定では大統領の任期は5年、再選できないことになっている。この国の大統領というのも大変な商売で、現職中に暗殺されたり辞職後に逮捕されたりしている。前職の李元大統領も残り少なくなった任期を意識してか「竹島」(韓国名ドクト)に上陸してみせるパフォーマンスで人気取りを図っていた。

 

 今回の憲法改正草案は、2期8年まで在職を認めるものになるようだ。しかし仮に憲法改正が成ったとしても、現職大統領には適用されないようで朴政権の延命策ではない。次期大統領のうわさのある元国連事務総長へのプレゼントだろうか?延長してあげれば、辞職後自らの逮捕など不利益になることはしないだろうとの読みがあるのだろうか?

        f:id:nicky-akira:20190528061141p:plain

 

 国際情勢の関係で、任期延長を(非常事態的に)図った例はいくらかある。民主党F・D・ルーズベルト大統領(第32代)は、それまでの慣例だった2期8年までとの任期を戦時を理由に守らず、三選している。アメリカはその後憲法を改正、慣例ではなく規定として大統領2期8年の期限を定めた。個人的には、慣例のままにしておけば今回の泥沼大統領選挙を見て「オバマ三選」ができたかもしれないと思うと残念である。

 韓国の隣の国でも、自民党総裁任期の延長議論が始まっている。事実上の総理任期の延長議論である。支持率25%程度と低迷する朴大統領とは異なり、安部政権の支持率はそこそこ順調である。首脳の任期が長いことは、一般に外交等を有利に導く。継続は力なりということである。総理への再就任以来外相顔負けのスケジュールで世界を駆け回る安部総理だから、国際的な認知度も高まっている。

 現在2期目の安部総裁、2期6年の自民党総裁任期満了まであと2年足らずになっている。これを3期9年に延長しようというのが現在の党幹部の意向。これは憲法どころか法律でもなく、単なる政党内部規定であるから党員が宜しいと言えば延長は可能だ。日本の国際的ポジションのためには、延長が望ましいと思うのだが、いろいろな理由付けがささやかれている。いわく、東京オリンピックパラリンピックを安部首相のもとでできるようにとのこと。

 多分本当のところは「衆参両院で2/3とって憲法改正、戦後レジュームからの脱却を自分の手で」なのだろう。
 
<初出:2016.10>