Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

フィリピン軍の新装備

 しばらくニュースの無かったフィリピンのドゥテルテ大統領だが、麻薬やテロと国内で戦い、中国の海洋進出には警戒の目を向ける姿勢は変わっていないようだ。国家予算が約3.7兆ペソ(約7.8兆円)のフィリピンで、新規の軍事装備に3,000億ペソ(約6,200億円)を投入することが決まったとの記事があった。

 
 
 対中国には、長距離哨戒機や潜水艦を強化する。そして国内の武装犯罪組織やテロリスト相手には、軽戦車やヘリコプターを導入してあたろうということだ。軽戦車というのが何なのか、この記事は明らかにしていない。想像するに装輪装甲車を含む、機動歩兵ではないかと思う。主戦場たる密林では、重戦車はもちろんジェット戦闘爆撃機も費用対効果の悪い兵器である。
 
 近代的な軍隊が初めて長期にわたって密林で戦ったのは、ベトナム戦争。この戦争は別名「チョッパーの闘い」と言われた。道路が発達しておらず、大量の雨が降れば地面は泥濘となって重い戦闘車両もトラックも動けなくなってしまう。もちろん徒歩で移動することも容易ではない。そこでチョッパーの登場となり、地上の敵兵に銃火を浴びせるのも、空中機動歩兵を運ぶのも、補給物資を届けるのも、負傷兵を後送するのもヘリコプターの仕事だった。

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 テロリストが対チョッパー用の重火器や対空ミサイルなどを持っている公算は低いので、よく訓練されたチームなら神出鬼没の戦術でテロ拠点を潰してゆくことができるだろう。50口径(12.7mm)ならもちろんM-60クラスの機関銃でも、上空から打ち下ろせば威力は大きい。なにより機動力があるので、1個部隊がカバーできる範囲が大きい。1の戦力の部隊が機動力が倍になれば、その戦力は4倍になるとする説もある。いたずらに兵士の数を増やす必要は無いわけだ。 
 
 今回、ドゥテルテ大統領が国家予算の7%ほどを張り込んで、これらの兵器を導入するのは正しいと思う。しかし兵器はあくまで道具、これを十分活かすには整備、兵站、補給、指揮、訓練、士気なども優れていることが求められる。これにも相当の予算がかかるのですが、その手当はついているのでしょうか?
 
<初出:2018.7>