Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

自衛隊の個人火器

 個人用携帯火器は、陸海空3軍で共通であることが望ましい。もちろん、海兵隊に代表される水陸機動兵力も含めてだ。現在の軍隊では、ロケット砲や携帯ミサイル、アンチマテリアルライフルグレネードランチャーのような特殊なものを除けば、分隊支援火器/ライフル/アサルトライフルサブマシンガン/拳銃くらいは共通にしておくのが普通。弾丸も、分隊支援火器、ライフル、アサルトライフルは5~8mmくらいのライフル弾で統一、サブマシンガンと拳銃は9mmくらいの拳銃弾を使うものにするはずだ。

 
 しかし個人携帯火器の出番が少ない兵種と、制圧射撃を主任務とする歩兵などではおのずとニーズは異なる。この記事は、自衛隊の個人携帯火器について高価な89式小銃陸上自衛隊に優先的に回され、海上自衛隊航空自衛隊は旧式の64式小銃を使っていること。この時代遅れのアサルトライフルは、重く使いづらい上に故障も多いと批判している。
 
 
 74式戦車の精緻な油圧サスペンションをイスラエルの軍人が「よくできたオモチャだ」と評したように、兵器は実戦で鍛えられる。64式も89式も実戦で使われたことがあるはずもなく、いざとなるとどのくらい役に立つのかは未知数だ。この記事は、面で制圧するような射撃の機会はほとんどないだろう海上自衛隊航空自衛隊には、ボルトアクションライフルかサブマシンガンで十分だと主張している。
 

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 護衛艦輸送艦、戦闘爆撃機、輸送機などに搭乗する隊員には、恐らくボルトアクションライフルも不要だ。護身用の拳銃か、精々サブマシンガンで十分だろう。ただ基地の警備要員となると、これが国内ならともかく海外派遣の時にはレミントンM-700のようなボルトアクションライフルでは心もとない。M-700のように600~1,000mの射程は不要で、有効射程300mくらいのアサルトライフルは欲しい。もちろん分隊支援火器は何丁かあり、クレイモア等の対人地雷も仕掛けられるとしてもである。
 
 これまで海上自衛隊航空自衛隊が本格的な基地を海外に設置するような派遣はなかった。それゆえ見過ごされてきた「欠陥」だが、そろそろ真剣に検討すべきだろう。しかしこの記事がボルトアクションライフルを持ち出したのには驚いた。確かに扱いは簡単だが、長距離狙撃などの特殊用途にしか軍では使わなくなっている。まあ、自衛隊そのものが特殊な軍隊ではありますがね。
 
<初出:2018.6>