Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

カラシニコフ社の新兵器

 最近、本当に使えるかどうか分からない兵器や軍事技術の発表が相次いでいるロシア。単純に国威高揚だけというわけではなく、実利も狙ったものも交じっているようだ。今年「Cebit」でも「Made in Russia」を掲げたブースがあったけれど、軍事関連技術のビジネス化・輸出にも熱心であることは確かだ。

 
 8/21からは「Army-2018」という軍事技術展示会がロシアのモスクワで開催され、いろいろな新兵器も登場したという。その中に、プチ・モビルスーツ様のものがあった。

http://tocana.jp/2018/08/post_17919_entry.html 

 全高約4m、重量4.5トン、二足歩行可能なモビルスーツで、乗員1名は防弾ガラスに囲まれたコックピットに座る。この試作機に固定武装はなく、2本のアームで何らかの武器をつかむらしい。記事にあるように、「スターウォーズにこんなの出てきた」と思わせる。製作したのはAK-47に始まる世界にテロのタネをばらまいた会社、カラシニコフである。同時に新型のアサルトライフルも発表していると写真の説明にある。そちらはきっとまともな兵器なのだろうが、このモビルスーツもどきは役に立つような気がしない。

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 まず背が高すぎる。まともな装甲もないので、小口径の速射砲でも相手にあれば1〜2km先から狙い撃ちにされ吹き飛ばされてしまう。次に移動速度(つまり機動力)が高いとは思えない。今のトレンドは無限軌道(要するにキャタピラ)ですらなく、タイヤ装備。不整地走行性は低くなるが、整備された道路なら100km/時以上で機動できる。この2本の足で、時速どのくらい出るのか?精々20〜30km/時、自転車並みだろう。最後に攻撃力、大口径の砲を持たせて狙撃兵的な使い方をするには、土台がしっかりしていないから弾道が安定しなくてNG。ガトリング砲のようなもので近接戦闘を挑むとしても、装甲も機動力も不足だから近づく前にやられてしまう。

 ほとんど冗談のような戦闘ロボットだ。人工知能を積んでいるとか、強力なセンサーがあると言われても買う国は無いと思う。シリア戦線に投入したところで、反政府勢力の手榴弾程度でも行動不能にさせられて終わりでしょうね。
 
<初出:2018.8>