Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

暴言大統領

 「フィリピンのトランプ」こと、ドゥテルテ大統領の暴言が止まらない。オバマ大統領を下品な言葉(Sun of the bitchに相当)でののしったかと思えば、国連の潘事務総長を「お前もバカのひとり」とあざけった。本家(?)のトランプ氏は昨今柔軟路線に転じたかのようだし、まだ大統領候補なのだから、今やドゥテルテ氏の方が本家なのかもしれない。まあ、トランプ候補には「アメリカのドゥテルテ」と呼ばれないでいただきたいものだ。
 
 麻薬やテロとの戦いで強硬な姿勢を見せ、結果として過剰な取り締まりによる死者を積み重ねていることへの批判が、お気に召さないらしい。大統領就任以降、すでに1,000人を超える死者が麻薬撲滅キャンペーンで出ている。抵抗したら射殺OKの免罪符を出しているので、捜査現場では武力行使が当然になっていると思われる。死者の中には、実態は不明だが、明らかに無実で殺されてしまった市民も含まれているはずだ。
 
 そもそもダバオ市長時代にも同様のやり方で「実績」を揚げてきたし、それを買われての大統領選挙勝利である。このような事態になることは、見えていた。ドゥテルテ大統領にしてみれば、民意を汲んでやっていることに旧宗主国アメリカや、実権のない国連にとやかく言われたくないということ。
 
 だから「アメリカの警官だって、無辜の黒人を殺している」となじったり、「昔、アメリカ兵に虐殺されたフィリピン市民」の写真を見せたり、「国連脱退も考えなくては」と脅したりする。どうも思ったことを思慮しないで口に出してしまう性格(知的レベルか?)のようだ。先週には、イスラム過激派「アブサヤフ」による爆弾テロがあった。大統領の地元ダバオで、大統領が里帰りしている時の犯行であり、80名以上が死傷している。大統領は当然「反撃」に出るだろう。

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 少し品位は違うが、かつてのペルーのアルベルト・フジモリ大統領の対テロ姿勢を思い出した。後年いろいろなことがあり現在も収監服役中ではあるが、テロと麻薬だらけの国を立て直したということでは立派な政治家と評価できる。日本大使館占拠事件でも、入念な策を練った後強行突入して事件を解決した。
 
 当時のペルーや現在のフィリピンまた多くの国では、市民の生命・財産・経済活動を不当な攻撃から守ることが最優先されている。そのためには、容疑者等の「人権」を考える余地があまりないように思う。ドゥテルテ大統領はそういう思いがあるが、口をついて出てくるのは上記暴言だけなのではなかろうか。少しアマすぎるかな?
 
<初出:2016.9>