Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

欧州の運命を決める日

 今日4日はドイツとイタリアで、大きな意味のある投票がある日だ。ドイツでは昨年の総選挙以降、数カ月を経ても連立政権が発足していない。今日は、連立政権に入るかどうかを第二党ドイツ社会民主党が党員投票をして決める。これが「是」と出れば、大連立が起きてメルケル第四次政権が発足して一応の安定が得られる。一方、イタリアでは3党が争う総選挙の日である。その3つとは、

 
・前首相レンツィ率いる中道左派
ポピュリズム政党と言われる「五つ星運動
 
 である。その支持率は全て30%前後で大差がない。いずれにしても連立になるのだが、どういう組み合わせになるか予断を許さない。移民排斥、EUの是非などの争点はあるが、根本問題は「若者の貧困」である。これは大なり小なり全てのヨーロッパ諸国に言える現象だ。
 
 
 増える高齢者への対応もあって、ヨーロッパ諸国は「高福祉国家」を目指した。まだ僕が40歳代のころ、イタリアの同年代の人たちが引退して年金をもらい、趣味半分でカフェを開いて楽しくやっているという記事があった。その本の名前は「破産しない国、イタリア」であった。正直うらやましく思ったのだが、そんなうまい話が長続きするはずはない。

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 その原資が増える需要に追い付かず、高齢者ケアを制限せざるを得なくなった。そこでより長く働いてもらおうということで、高齢者の雇用を守るようにした。結果として、若者は職を奪われた(というより社会への入り口を狭められた)わけだ。この問題の解決は簡単なことではあるない。
 
 日本の就職戦線は、何故か空前の売り手市場なのだそうが、欧州事情と大きな差は日本社会にはないように思う。先行指標としての欧州事情、注目しておく必要があるでしょうね。
 
<初出:2018.3>