Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

「鉄の男」への回帰

 日本・ポーランド戦が摂氏40度の酷暑の中で行われた街ヴォルゴグラードは、かつてはスターリングラードと呼ばれていた。第二次欧州大戦のターニングポイントになった場所で、独ソ両軍の大量の血を吸った街である。ヴォルガ河など大河が流れるところで、交通の要衝でもある。ヒトラーは仇敵スターリンの名を刻んだ街を、どうしても獲りたかったという。

 

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 そのスターリンという人物だが、ジュガシビリという名のグルジア人(今はジョージアという国)らしい。ロマノフ王朝を倒したトロツキーレーニン共産主義革命の中で台頭し、最高権力者に登りつめた。この記事にあるように、残忍で狡猾な性格だった。中央アジア人ゆえか、身長は低くシークレットブーツを履いて背を高く見せていたとする説もある。
 
 シンガポールでトランプ先生と会ったかの国の指導者もこの種の靴を使ったようだが、北欧系にアジア系が体格で劣るのは仕方がない。トラだってシベリアトラが一番でかい。そういうコンプレックスもあったのか、ジュガシビリは名前を「スターリン」と改名する。その言葉の意味は「鉄の男」。彼は鉄の意思で政敵や不都合な勢力を粛清、強固な独裁体制を築いた。
 
 確かに恐怖政治の時代だったのだが、沈滞したロマノフ王朝末期や、共産主義革命の混乱期よりは生産性は向上し今でいうGDPは上昇した。貧しい農村国家を一大陸軍国にした工業化政策、経済政策は評価できる。長期政権も終盤にさしかかったプーチン大統領が、一種のイコンとしてスターリンとその時代を掲げる気持ちは分からなくもない。
 
 ただその政治手法は、必要悪だったとはいえ褒められたものではない。ましてや現代社会において、G20の国がとるべき道ではないだろう。日本から見ると、北朝鮮や中国の影に隠れてはいますが、ロシアも世界の不安定要因の一つですね。
 
<初出:2018.7>