今週の日曜日11/11は、第一次世界大戦が終息して100年という記念日だった。先だつ10日、独仏の首脳がパリ近郊のコンピエーヌに集まり、欧州の平和と結束を誓い合ったと言う。
しばらく前の話だが、老人に「この前の戦争」について聞いたところ、第二次ではなく第一次世界大戦の記憶を語り始めたという記事を読んだ。あの戦争が、欧州の人たちにどれほどの衝撃を与えたかを示すエピソードだと思う。
実は日本もこの戦いには参戦していて、連合国側の一員として青島のドイツ軍基地を攻撃したり、ドイツの通商破壊艦を追いかけたり、果ては地中海に駆逐艦隊を派遣している。その結果戦勝国となった日本は、ドイツの委任統治領だったパラオやトラック環礁を手に入れ、これらを太平洋支配の拠点として整備してゆくことになる。
話を現在に戻すと、メルケル首相もマクロン大統領も純粋に100年式典を祝う心境ではあるまい。メルケル首相はCDU党首の座を降りることが決まっていて、すでにレームダック。長期政権の間に、内政はガタガタになったと評する人もいる。一方のマクロン大統領も目指す改革は難航していて、経済面ではドイツに水をあけられているのも確かだ。
そこにトランプ先生がやってきて、NATOの軍事費負担を増すように迫られている。マクロン大統領は「米国を廃した全欧州軍」の創立を呼び掛けるなど、NATOの枠組みそのものも揺らぎ始めた。米中貿易戦争やロシアの不気味な動きも含めて、全世界が不安定化しつつある。背景にはほぼすべての先進国で、市民の不満が高まっていることがある、
第一次世界大戦後に世界大戦防止用の仕掛け「国際連盟」同様、今の「国際連合」もあまり役には立たない。今こそG7とかG20とか、主要国首脳の集まる場で真剣に平和を考えないと、三度目が来てしまうかもない。そういえば、日本は来年G20の議長国でしたよね。
<初出:2018.11>